原発の恩恵で地方交付税がない佐賀県玄海町。共存意識が強い町でも「核のごみ」受け入れには強い抵抗感
◆予算の6割は原発関連で賄う 人口約5000人の玄海町は原発関連の交付金や税で予算の約6割(2024年度当初)を賄う地方交付税の不交付団体だ。町議は文献調査を求める請願への賛否にかかわらず、原発自体に反対する住民の声は特に聞かないとする。原発との共存意識が強い半面、最終処分場の地元建設には抵抗感がのぞく。 処分場は地下だけで広さ6~10平方キロに及ぶ施設。最大で、町の3分の1に迫る広さを要する。請願に賛成した井上正旦議員=現議長=は「町民は処分場の上に住みたくないと、はっきり言う」と話す。建設できるのは海底くらいだとし、「立地自治体が手を挙げないと全国から関心を持ってもらえない」と世論喚起の目的に理解を求める。 請願に反対した前川和民議員は原発反対の立場ではないが、本会議上程から約2週間での採決を「住民理解は進まないままで早急すぎた」と振り返る。近隣自治体との関係悪化、処分場建設による観光や1次産業への影響も懸念。次の概要調査に進んでほしくないと願い、「住民投票で判断するべきだ」と唱える。
南日本新聞 | 鹿児島