原発の恩恵で地方交付税がない佐賀県玄海町。共存意識が強い町でも「核のごみ」受け入れには強い抵抗感
NUMOは機運が高まらない現状を認め、「全国で考える問題。あらゆる取り組みをする」と強調。ほぼ全域に鉱物資源があるとされ、適地と言いがたい玄海町で文献調査を行うことには「詳しく調べないと分からない点があり、調査の価値はある」とする。 最終処分制度に詳しい東京電機大の寿楽浩太教授は「なぜここか、なぜ今かといった問題が解決されないまま、地域も説明責任を求められる状態。現世代で地層に処分する社会的合意は必ずしも十分でない」と指摘する。複数の候補地から絞る方法なども確立されていないとし、「科学的に、より向いていない方を選ぶことは避けないといけない」とくぎを刺した。 ◆玄海町長「新たな候補地出てほしい」 玄海町の脇山伸太郎町長はインタビューに応じ、最終処分への国民的議論を期待した。文献調査中に新たな候補市町村が出てほしいとし、「原発立地自治体だけで(処分場まで)完結するのはどうかと思っている」との認識を示した。
町議会で過去、文献調査への見解を求められるたびに難色を示してきた。住民からの請願はいずれ出てくる想定だったといい、採択した議会判断を尊重して「私も決断まで間を置くべきでないと考えた」。住民説明会などを開かなかった理由でもあるとした。 調査開始後も処分場に否定的かと問われると、明言を避けつつ、町の面積の狭さなどから「考え方自体はあまり変わっていない」。町議会で請願を審議する前に、県知事が誘致反対の立場を表明したことには「議会も私もいい気はしなかった」と振り返った。 調査に伴い国から受け取ることができる20億円の交付金は財政的な余裕から「対応を決めていない」と強調。「受けなければ、次に手を挙げる所が出にくくなることを懸念している」とも述べた。文献調査を終えた際に次に進む可否判断については「コメントできない」とした。 国が原発を最大限活用する方針には、電力需要の増加から「新規原発が必要」と歓迎した。ただ、玄海原発での建て替えには時間がかかるとし、「川内原発3号機が近いと想像をしている」との見方を示した。