「10年前は、もどかしく眺めるだけだったパレード」、今は自分らしくいられる場所 写真で振り返る西日本最大級「レインボーフェスタ!2023」
LGBTなど性的少数者への理解を広げようと、大阪市北区で2023年10月7、8日の2日間、西日本最大規模のイベント「レインボーフェスタ!2023」が開かれた。来場者は計約2万8000人で過去最多。梅田の繁華街ではパレードも行われた。写真と映像とともに振り返る。(共同通信=安部日向子、福原健三郎) 松江で山陰初のLGBTパレード ボードに「ありのままでいい」
▽華やかなステージ 初日の7日には、派手な化粧にきらびやかな衣装を身にまとったドラァグクイーンのショーや、当事者によるファッションショーなどがあった。 レインボーフェスタは今年が9回目。新型コロナウイルスの感染拡大を受け中止を余儀なくされた時期もあったが、年々参加者は増えている。 ▽梅田に揺れる虹の旗 8日のパレードはあいにくの小雨だったが、当事者や支援団体、家族連れなど約1500人が参加した。 「ハッピー、プライド!」のかけ声が、繁華街・梅田の空に響いた。メッセージボードや虹色の旗を掲げ、笑顔で練り歩いた。 パレードの中に、髪色から足先まで虹色でそろえた母親3人組の姿があった。「子どもたちが性別を変えたりしても、同性の恋人がいたりしても受け入れる。母親として賛同する気持ち」。母親として、性的少数者を支援する「アライ」として参加したと語った。 ▽自分らしく 「この2日間だけでも、全ての人が自分らしく過ごしてほしい」
こう話し、盛況なイベントに温かなまなざしを向けていたのが、実行委員会で共同代表を務める桜井秀人さん(44)だ。今年も運営に携わり、ステージで司会を務めたが、十数年前までパレードをすることに抵抗感があったと打ち明ける。 自身の性指向が周りと違うことに気づいたのは、保育園のころだった。だが、母親が受け入れてくれなかったことで「同性を好きになることは悪いこと」だと理解した。 大学生になり、同じ境遇の友人ができてからは自分の存在が肯定できた。周囲に少しずつカミングアウトできるようになった。それでもパレードは、第三者へのカミングアウトのように思え、参加できなかった。 30代にさしかかり、初めてLGBTのパレードを見た。「うらやましかった」。華やかで、参加者が自分らしくいる姿に憧れた。自身の今後を考えていたころだった。「怖かったが、自分にしかできないことをやることに決めた」 10年前、前身の「関西レインボーパレード」から「レインボーフェスタ!」に衣替えしたタイミングで、実行委員会に入った。当事者としてパレードに参加し、ステージ司会も務めた。
沿道でもどかしく眺めていたあの頃の自分でも参加できるように。「誰かのきっかけになる場所」を目指して、来年に思いをはせる。