“暑がり夫”と“寒がり妻”で「エアコン離婚」? とんでも離婚が起きる納得の理由 熟年離婚の引き金は「ささいなこと」
同棲相手の意見なので、できれば尊重したい。でも私はどうしてもぬか漬けを食べたくて、隠れて食べていました。ぬか床に何重にもビニールをかけて、部屋の奥に隠していたのです。もちろん臭い対策ですが、そんなにしてもやっぱり臭うんだそうです。 2人が仲良しの間は、お互いに配慮できるのです。私もできるだけ臭いが漏れないようにしていましたし、相手も、私がそうやって気を遣っていることに感謝してくれていました。 でも、ときが経つとともに愛が冷めて、ひとたび仲が悪くなると、「いつまで我慢させる気だよ。俺に黙ってぬか漬けを家に置くなんて許せないってまだわかんないのか」と怒りをあらわにされてしまうのです。
小さな不満の背後には、価値観や五感の微妙な違いが隠れていて、乗り越えるのがとても難しいのです。五感や価値観を変えるのは大変だからです。 いつまでも新婚当初やつき合いたてのラブラブな関係を維持できれば、問題にはならないのですが、そうもいきません。 ぬか漬けについては食べるのを我慢する。でも、その代わりにあなたも「洗濯3回」をやめてほしいとか、代わりに「愛してると毎日3回言う」とか、そういう約束事が成立すれば、何とか乗り越えられるように思います。
そういう本能的欲求を抑えるのはなかなかに難しいですよね。 ■「アジフライが食べたい」で不倫した夫まで ぬか漬けはまれなケースかもしれませんが、価値観の違いは食事の好みにもあらわれます。好きなメニューを自宅で食べられなければ、それはストレスになってしまうでしょう。 実際、私のところに相談に来た中で、アジフライが食べたいのに、妻がつくってくれないので不倫してしまった、という男性もいました。 相談者の男性は40代。5歳年下で専業主婦の妻は、小学生の息子のことにしか興味がないそうです。
食卓に並ぶのは、息子の好物のハンバーグやオムライスばかり。夫の好物はアジフライなのに、揚げ物は片付けが面倒だと言って、家ではつくってくれないのだそうです。 夫はそんな妻に不満を感じていました。ちょうど同じ職場に少し年上の女性がいて、仕事の相談がてら妻の愚痴をこぼしているうちに、不倫関係になってしまったとか。 夫は、妻がアジフライをつくってくれないのは、もう自分のことを愛していない証拠のように感じていたのです。
40代はこういう問題が起きやすく、夫婦関係にとって危険な時期です。20代で結婚したならそろそろ結婚20年です。 30代ならまだラブラブな雰囲気も残っていたりしますが、40を過ぎると子育ての共同作業は一段落して、だいたいの妻の関心は子どもの進路のことばかりで、夫婦関係はどうしても冷え込んできます。 一方、40代になると夫の(妻もかもしれませんが)仕事の責任が増え、出世したり給料が増えてくるもの。だから「仕事では評価されているのに、なぜ家庭では逆なのか……」と承認欲求をこじらせて悩んでしまう人も多いのです。
岡野 あつ子 :夫婦問題研究家