佐賀県嬉野市の老舗温泉旅館「和多屋別荘」に日本語学校設立へ…アジアの若者が働きながら学ぶ観光地に
日本語を学び、日本で働きたいというアジア地域の若者を対象にした日本語学校が来年4月、佐賀県嬉野市の老舗温泉旅館「和多屋別荘」(小原嘉元社長)内に設立される。20日、同旅館で、学校の運営母体となる東京の人材紹介会社が、同市と進出協定を締結した。地元の観光産業に貢献してくれる人材の育成を図る。(鹿子木清照) 【写真】「Suica」「チーバくん」さかざきちはるさんの作品を常設展示…佐賀県嬉野市「和多屋別荘」
運営母体は、医療関係者の人材紹介などで実績がある「リンクスタッフ」(杉多保昭社長)。文部科学省の認可を受け、旅館内に学校を開設する。コロナ禍での宿泊客の減少を経て、同旅館では、客室や宴会場を活用して企業オフィスなどの誘致を進めている。今回もその一環で、教室用に地下1階の部屋(25畳)を3室貸与する。ネパールやインド、バングラデシュなどの大学を卒業した若者たち約50人が、市内に居住して2年間学ぶという。
学校事業を実際に運営するのはリンクスタッフの子会社で、学生たちは日本語を学びながら市内の旅館やホテルなどでアルバイトをし、職場の同僚や顧客との会話を通じて語学力に磨きをかける。リンクスタッフの杉多社長は「卒業後は街づくりに貢献し、経営にもタッチできるような高度な提案ができる人材に育ってほしい」などと話した。
また、和多屋別荘の小原社長は「海外から毎年50人が入学し、嬉野市の温泉やお茶、陶器、酒蔵などについて学ぶ効果は大きい」とし、同市の村上大祐市長も「観光地として一段上を目指している。今回の取り組みを始まりにしたい」と期待を述べた。