普通鋼電炉12社の4~9月期、8社減収・10社経常減益。販売量減・メタルスプレッドも縮小
普通鋼電炉メーカー12社の2024年4~9月期決算が7日までに出揃った。販売量の低下などで8社が減収。収益面では原料の鉄スクラップ価格は小幅の上昇にとどまったが、製品価格は下落。メタルスプレッドが縮小し諸コストも拡大したことで10社が減益となった。一方、東京鉄鋼と北越メタルの2社が増収増益を果たしている。 低迷する建築需要を反映して全体に販売量は減少傾向となった。前年同期に比べ販売数量を落としたのは東京製鉄、共英製鋼、トピー工業、合同製鉄、中山製鋼所、大和工業、JFE条鋼、中部鋼鈑、伊藤製鉄所など。一方、大阪製鉄と東京鉄鋼は数量を伸ばした。 主原料の鉄スクラップ価格は500円程度の小幅の上昇にとどまった。一方、製品販価は国際マーケットの低迷も影響し下落。単価は前年同期に比べ東鉄がトン1500円、共英が1800円、伊藤が1300円下落している。一方、契約期間の長いねじ節鉄筋を主力とする東京鉄鋼は販価を維持し、販価は同5800円上昇した。 この結果、販価と主原料の値差であるスプレッドも縮小。縮小幅は前年同期比で東鉄がトン1900円、共英が2300円、伊藤が1800円などとなっている。一方、東京鉄鋼は前年同期比5600円の拡大となり収益を大きく伸ばした。ROSでは大和が53%と突出しているが前年に比べ約10%低下した。東京鉄鋼、中部も2桁を達成している。 25年3月期通期の業績予想を修正したのは9社。前回予想から増収増益修正は東京鉄鋼1社。東鉄、共英、トピー、中山、大和、大鉄、中部の7社が減収減益修正し、合鉄が減収修正と厳しい需要環境を映す形となった。北越は修正なく、J条と伊藤は通期予想の公表を差し控えている。