石破首相が招いた「保守層の離反」失望深まった党総裁選 安倍氏の戒め「築城3年、落城1日」築いた自民党の基盤が早くも揺らぐ
【令和の岐路 10・27衆院選】 衆院選(27日投開票)は折り返し。自民党は各種情勢調査の多くで、都市部を中心に苦戦し、単独過半数(233議席)に届くかどうかという情勢だ。その要因の1つと目されているのが「保守層の離反」だ。その〝失望〟が深まったのは、9月の自民党総裁選である。 【リストでみる】夕刊フジが作成した「東京全選挙区当落予測」 「今回は地元の自民党議員に入れるのは辞めた。安倍(晋三元首相)さんの恩をあだで返した」 そう話すのは、東京・下町の町工場社長だ。「岩盤保守層」を自称する彼が憤るのは、ある旧安倍派議員の立ち回りだ。支援する総裁候補が第1回投票で落ちると、決選投票では「安倍氏の宿敵」だった石破茂氏にあっさりと投票した。 総裁選は当初、「石破氏か、小泉進次郎氏か」とみられていたが、高市早苗氏が保守的な党員・党友の強い後押しで、第1回投票で首位に大躍進した。ところが、決選投票で逆転負けという結末が、後味の悪さとして広がった。 決選投票で石破氏を推したとされる岸田文雄前首相だが、そのお膝元の広島県連は高市氏が最多票を獲得した。自らも高市氏を推していた県連所属の市議は、投票結果に「無力感を覚えた」とうなだれる。 草の根保守層への「仕打ち」はこれにとどまらない。 石破首相は、かつて安倍氏を「国賊」と批判し、党役職停止処分を受けた村上誠一郎氏を総務相に抜擢(ばってき)した。さらに、政治資金の不記載があった旧安倍派議員らを「非公認」「比例重複せず」とした。 「非公認」は、「政治とカネ」の問題への逆風が収まらず、慌てて対応したものだが、安倍政権時代の自民党を下支えした保守層のさらなる離反を招くというジレンマに陥っている。 衆院選公示から2日、時事通信が17日に発表した石破内閣発足後初の支持率は、すでに「危険水域」に突入した28%だった。歴代内閣の発足時としては、岸田内閣(40・3%)、菅義偉内閣(51・2%)、第2次安倍内閣(54%)どころか、あの森喜朗内閣(33・3%)も下回って、2000年以降で最低だ。スタート時から不支持率(30・1%)が上回るという惨憺(さんたん)たる結果にも衝撃が広がる。 離反する保守層の新たな受け皿となりつつあるのが、ベストセラー作家の百田尚樹氏が立ち上げた「日本保守党」である。4月の衆院東京15区補選は4位だったが、今回、小選挙区に4人、比例代表に26人を擁立し、一部では政党要件を満たす5議席獲得の可能性も報じられている。