水戸京成百貨店雇調金詐取 元部長に懲役3年判決 水戸地裁「刑事責任重い」 茨城
茨城県の水戸京成百貨店を巡る国の雇用調整助成金の詐取事件で、詐欺罪に問われた元総務部長の同県常陸大宮市、片岡卓也被告(58)の判決公判が15日、水戸地裁で開かれた。村山智英裁判官は「刑事責任は相応に重い。実刑は免れない」と懲役3年(求刑懲役5年6月)を言い渡した。 判決理由で村山裁判官は、片岡被告が当時の社長、斎藤貢被告(67)=同罪で起訴=の指示を受け、コロナ禍で赤字を出さないよう勤怠データの改ざんに及んだと指摘。受給した雇調金は総額約10億7000万円に上り、水増し分が約2億6000万円と「極めて多額」と述べた。 斎藤被告に対して不正をしない方法を何度も提案したことなどを踏まえても「犯行を決意した経緯について酌むとしても限度がある」とも指摘。斎藤被告の社長退任後も、労働局の調査が入って他の役員に告白するまで、自己保身から1年4カ月分にわたって犯行を続けたとして「非難は免れない」と指弾した。 最終陳述で片岡被告は「心から反省している。ご迷惑をおかけした人たちに心から謝罪したい」と語った。 弁護側はすでに辞職して社会的制裁を受けているとして、執行猶予付き判決を求めていた。 片岡被告は公判で、不正が始まったのは斎藤被告の指示と訴え、「社長から黒字になるまで(水増しを)やるしかないと言われた」と主張。斎藤被告の社長退任後も「対面で『続けるしかない』と言われた」と語っていた。 判決によると、人事業務を統括していた片岡被告は斎藤被告らと共謀し、2020年4月~22年8月分の百貨店従業員の休業日数について虚偽の申請書などを茨城労働局に提出。雇調金計10億7000万円を同社名義の口座に振り込ませてだまし取った。
茨城新聞社