Dannie Mayインタビュー「自分たちの強みに気づいてからは楽曲の力強さが全然変わった」
――どの曲を作ってる頃からアルバムの全体像が見えてきましたか? Yuno それで言うと、もう最初の「カオカオ」(2024年第一弾シングル)を作っている時からですね。EPとかアルバムを出す時は曲の寄せ集めを出すのは嫌だなっていうのは思っているし、今回は絶対テーマを決めて作ろうっていうのがあったんです。「カオカオ」はそもそもアルバムの話が始まるのと同じ頃にきたんだよね?「コレクション」(EP『青写真』に収録)ともかぶっていたっけ? マサ かぶっていたよ、俺死にそうだったよ(苦笑)。 Yuno 今回のアルバムテーマ、まぁ2ndアルバムだからもじって数字の“2”っていうのをテーマにしているんです。バンド自体がポップとマイナーの境界線を縫うような音楽を作るっていうこととか、一筋縄ではいかない二面性みたいなのを大事にしてきたバンドではあって、それこそDannie Mayってバンド名もDannieとMayっていう外国人男性と日本人女子の名前をかけ合わせた概念が組み合わせてできた名前なんで、2というテーマはDannie Mayにとって大事なもので。で、今回はそれをテーマにしたんですけど。 ――バンドにとって必然的なテーマなんですね。で、今回タイトルチューンの「マジックシャワー」で始まりますが、EP収録の「コレクション」が持っていたような前向きなテンションで始まりますね。 マサ 自分たちが今までやってきた中の曲をもっと広げていこうというところももちろん意識しつつ、アルバムリード曲っていうのはもうその曲を書く前からそこの枠の曲っていうふうに決めるんです。で、「最強のポップスを作ろう」というテーマからその曲ができているので、もう「ワーっ!!」って明るい感じになっていますね、J-POPだなって。 ――この曲が1曲目なのは意表を突かれました。 マサ 確かに攻めてるっちゃ攻めてる(笑)。 タリラ でも言ってたよね、闇を照らすには……。 マサ なんかそんな話もしたよな。 Yuno なんかこの鬱々した日々というか、何か一歩足りない時とか自分のしがらみのようにまとわりつく闇をはねのけるぐらいの強さがあるものって、圧倒的な光だよなってことは言っていて。 マサ そうだ。そのメンタルで書いたんだ。 Yuno だとするならば、もうすべてをはねのけて打ち返すぐらいの力強いポップスなんじゃないかっていうので上げてきたのが「マジックシャワー」なんですよね。 ――ちなみに「マジックシャワー」のテーマは? マサ “音楽は魔法足りえるのか”っていう。それを是と言わせる、それを魔法ですって言わせるようなイメージで書いたんだって話を5周年のライブでもしました。 Yuno 日々の会話で紡げない言葉だったとしても音楽の歌詞によってみれば、「コレクション」みたいにちょっと恥ずかしいようなこととか、「ふたりの暮らし」みたいに大切な人をまっすぐ愛でるようなことも曲だったら伝えられるんじゃないか、音楽だったら伝えられるんじゃないかっていうところに何か魔法を感じたというか。なので「マジックシャワー」も純粋に“本当に音楽は魔法足りえるのか?僕らは魔法足りえると思っています”という意思の曲ですね。 ――そして毎回特徴的で、ライブでは場面転換になる曲を出してくるタリラさんの新曲「強欲」。これはどんな発想だったんですか?これも2なんですか? タリラ これも2ですね。もともとはデモを4~5年前に作っているんです。でもずっと出していなかったんですけど、今回2というテーマだったので。ある時、電車の中でいろんな人の欲が見えて。どこかに行きたい、あの人に会いたい、お腹空いたから何か食べたいとか、寒いから暖かいとこに行きたいとか、そういうこの世のすべての欲が見えて。なんか二次元三次元とかの他に“欲次元”みたいな、欲だけが渦巻いている次元みたいなのが――俺その時なんかスピっていたのか分かんないですけど(笑)、電車の中で見えて、それで書いた曲で。この三次元の普通の世界と欲次元っていう世界があるんじゃないかという二面性の曲なんです。