「自動物流道路」新東名などで実験。27年度までに実施予定
国土交通省は25日、「自動物流道路に関する検討会」(委員長・羽藤英二東大大学院教授)の中間取りまとめを公表した。無人化・自動化された輸送手段として、標準仕様パレットなどを積載できる、自動輸送カートの運行を想定。新東名高速の建設中区間(新秦野―新御殿場)などで実験を行い、小規模な改良で実装可能な区間などで10年後をめどに先行ルートでの社会実装を目指す。
自動物流道路では、高速道路の中央分離帯や路肩・のり面などを専用レーンとして活用し、パレットなどユニット化された貨物を自動走行カートで運送するシステムを想定する。人口減少や脱炭素化など社会環境が変化する中、自動化により人的リソースの制約にとらわれない小口・多頻度輸送を可能とし、輸送と保管を統合したバッファリングで需要の波の平準化につなげる。
社会実験は、新東名高速の新秦野―新御殿場区間が供用開始される2027年度までに実施する予定。カート、搭載するパレットの規格などは今後議論を進めるが、中間取りまとめではスイスで実装されている自動輸送カート(時速30キロメートル、耐用年数約12年)の事例などを紹介しており、既存技術がベースとなる見通し。当面想定するのは、日雑品、食品などの小口貨物となる。
長期的には、物量が特に大きい東京―大阪間などの長距離幹線輸送での自動物流道路実現を目指す。開発については主に民間資金を想定。港湾、鉄道など他の輸送モードとの接続や、都市間・都市内物流との連携についても今後検討していく。
日本海事新聞社