パワハラが発覚、“若手カリスマ医師”だった院長の今「同じ場所で地域医療をやり続けることが罪滅ぼし」 #ニュースその後
去年11月、三重県志摩市で発覚した病院長のパワハラ。病院の予算について事務長と話していた際に、「あほか、お前は」「ばかなのかお前は、大丈夫か」などと発言したというのが、医師の江角悠太さんです。 8年前、江角さんは34歳の若さで院長に就任し、経営難の病院を救った立役者として注目されていましたが、パワハラが発覚。“過ち”のその後を追いかけました。
病院経営がV字回復した影で…職員に対して叱責罵倒
人口4万5千人あまり、過疎化が進む三重県志摩市。パワハラを訴えられた江角さんが志摩市民病院の院長になった2016年、病院は経営難に陥っていました。7億円の赤字に加え、病院の規模縮小まで検討される事態に。 経営を建て直すため、江角さんが掲げたのが「患者を絶対に断らない」という理念でした。さらに、患者の生活までを考えた診療は評判を呼び、患者の数は次第に増加。その結果、赤字を減らし病院を立て直したのです。 “若手カリスマ医師”と評され、V字回復の経営手腕は注目の的になりましたが、その影で起きていたのがパワハラでした…。
2019年に江角さんからパワハラを受けたという女性は、当時、病院の事務長として勤務していました。パワハラは、年下でもあった江角さんと予算配分の話をする中で起きたといいます。「声が大きくなったり叱責罵倒、暴言を吐くようなことが多々ありました」と当時を振り返り、「あほかお前は」など、人格や能力を否定する発言もあったと語ります。 女性は事務長職の変更を市に希望しましたが、かなわず、着任から3年目に入ったところで退職。また、一昨年、市民病院が行ったハラスメントのアンケートでは、30人がパワハラを受けたことがあると回答しました。関係者によると、このうち江角さんからのパワハラだったとの回答が複数あったということです。 ハラスメント対策の専門家である日本ハラスメント協会の村嵜要代表理事は、「(トップの院長)自らが就業環境を害しているので、一番よくない組織の状況」とし、正論であればどのような発言をしてもいいという考え方が根本にあったと指摘しています。