〈あのベイブレードが再ブーム〉シリーズ最新作は累計出荷200万個の大ヒットも、子どもたちは「うるさい」と家を追い出され、公園、公民館も“禁止”で「遊ぶところがない」と悲鳴
玩具メーカー大手の「タカラトミー」は、昨年7月に現代版ベーゴマ玩具「ベイブレードX(エックス)」の販売をスタート。シリーズ最新作となる本商品は、新たなギミックとして「X(エクストリーム)ダッシュ」を搭載し、歴代シリーズ最速のスピードを実現。発売からわずか半年で国内累計出荷数は200万個を突破する大ヒットを記録している。その一方で、ユーザーの親からは騒音を気にする声も…。令和のベイブレード事情を取材した。 「床が傷つくから家では禁止」「うるさいから館内禁止、外でやりなさい」ブームだけど遊ぶ場所がない令和の子どもたち
「ベイブレードX」ブームのきっかけは?
今年でシリーズ誕生から25周年を迎えた、現代版ベーゴマ玩具「ベイブレード」。これまでに世界80以上の国と地域で累計5.2億円以上(2023年4月時点)が出荷され、日本をふくむ世界各国でブームを起こしてきた。 そんななか、玩具メーカー大手のタカラトミーは、昨年7月におよそ8年ぶりとなる新シリーズ「ベイブレードX(エックス)」の販売をスタート。 近年は家庭用ゲーム機やスマートフォンを使ったゲームアプリが人気を集め、アナログ系の玩具は苦戦を強いられるなか、発売からわずか半年で国内累計出荷数は200万個(2024年1月時点)を突破するなど大ヒット商品になっている。 「本シリーズは、従来のベイブレードから新たなギミックを追加して『X(エクストリーム)ダッシュ』という新機能を搭載しました。ベイブレードを回すフィールド(スタジアム)の側面に『エクストリームライン』と呼ばれるレールが敷かれていて、そこにベイブレードの軸についた『ギヤ』が噛み合うことによって一気にコマを加速するようにしたのです。 これまでのベイブレードの場合、コマ同士があまりぶつかり合うことがなく減速していくのを待つのみ……という状況になることも少なくなかった。ところが、この『X(エクストリーム)ダッシュ』により迫力のあるバトルを実現しました」(エンタメ系ライター) ベイブレードシリーズは、これまで第一世代の「爆転シュート ベイブレード」(1999年~)、第二世代の「メタルファイト ベイブレード」(2008年~)、第三世代の「ベイブレードバースト」(2015年~)を展開してきた。 そのどれもが全世界出荷数およそ1億5000万個を超える“メガヒット”を記録し、第四世代となる「ベイブレードX」にはそれ以上の売上が期待されている。 ところが、新宿区で長年にわたりおもちゃ屋を営む、「カネモ・トイホビー」店主、那須嘉一郎さんは「ベイブレードX」が発売された当時をこう振り返る。 「昨年7月にウチでも入荷しましたが、最初の売上は全然でした(笑)。従来のベイブレードシリーズとは変わり、『ランチャー』(ベイブレードを回す機械)までモデルチェンジしたため、新しいベイブレードで遊ぶとなると、またイチから道具をそろえる必要があったんです。 ところが、昨年の夏ごろに『ベイブレードX』のアニメが始まり、コロコロコミックの漫画連載も人気になったことで小学生から注目を集めて在庫も動きだしました。 アニメに登場するキャラクターが使っているベイブレードが発売されるので、昨年末あたりから新商品が出るたびにすぐに完売するようになったという感じです」 ベイブレードXシリーズは、現在およそ20種類以上の商品を展開。昨年まではランチャーとベイブレードがセットになった「スターターキット」や、ベイブレードを回す「スタジアム」を一緒に買う“新規ユーザー”がほとんどだったが、発売から10ヶ月経った今では“既存ユーザー”に向けた商品が売れているという。 「一番の売れ筋商品は『ランダムブースター』。これはカードゲームのパックのように、箱を開けるまでどんなベイブレードが入っているかわからない仕様になっています。 ここでしか手に入らない形や色をした商品もあるので、友達が持っていない“レア”なベイブレードを求める小学生男子の心を鷲づかみにしているというわけです。 ウチでも入荷するたびに2、3箱買っていく子もいて、すぐに完売するという状況になっています」(同)