今季こそ!? 3打席連続三振…ソフトバンク〝大人のリチャード〟がポジティブ思考で決勝打「だんだんだんだん良くなってきて」
◆ウエスタン・リーグ 阪神0―1ソフトバンク(14日、鳴尾浜)
〝大人のリチャード〟が、最後の最後に決勝打を放った。ソフトバンクの7年目・リチャード内野手(24)が14日、ウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)に「5番ファースト」でスタメン出場。0―0のまま迎えた9回2死二塁。規定で延長戦のないこの日のまさしく最後の打席で、左越えの決勝二塁打。直前まで3打席連続三振と振るわなかった中で「いい感じではいけていたので、別に悪く考えることなく、最後の打席にも入れた」と、これまでなら〝イヤな流れ〟を引きずっての凡退というシーンが目立ったリチャードが、きちんと気持ちを整理し、心をしっかりと切り替えて打席に臨み、ここ一番で最高の一打を放った。その最後の場面の心境を、まず振り返ってもらった。 ■【写真】決勝打を放ちガッツポーズするリチャード 「いやー、結果だけ見ると、三振が続いていて悪いんですけど、自分の状態というか、1打席目もいい感じで、厳しいところを突かれてもファウルを打てていた。それを、相手の気持ちも読まずに、自分だけ『打ちたい、打ちたい』という気持ちだけでいくと、ああいう感じになってしまう。向こうが勝負していないのに、自分だけ勝手に勝負しに行ってたんです」
「ロマン砲」と呼ばれ続けながら…
リチャードが言及したのは、2回の第1打席でのことだった。カウント1―1からの3球目。阪神の左腕・門別の147㌔内角ストレートを思い切り引っ張ったが、左翼ポールのわずか左への特大ファウル。続く4球目、今度は147㌔のストレートが外角へ。これを逆らわずに右方向へ運んだが、これも右翼ポールの右へ切れるファウル。ホームラン性の当たりを連発されると、バッテリーもストレートで攻めてくるのにはちゅうちょしてしまう。5球目の137㌔ツーシームを見極め、カウントは2―2。まだ、あと1球はボールを投げられるバッテリー心理を考えれば、ここでは力勝負はないはず。なのに、気持ちがはやったリチャードは、122㌔の外角スライダーが、低めに落ちていくところを追いかけ、空振りしてしまうと、続く5回、7回の打席も、いずれも門別の変化球にバットが空を切り、3打席連続での空振り三振。こういう悪循環にはまると、なかなか気持ちを立て直せなかったのが〝これまでのリチャード〟だった。 昨季まで4年連続でウエスタン・リーグの本塁打王に輝きながら、1軍では結果が出せず、一昨年の打率は1割5分9厘。昨季も1軍22試合でノーアーチの打率1割1分5厘。ツボにはまれば、とんでもない飛距離を見せる怪力打者は「ロマン砲」と呼ばれ続けてきながら、今季がもう7年目。シーズン中に25歳を迎えるとあって、もはや若手と呼べる年齢でもなくなってくる。もう期待値の大きさだけで、周囲は待ってくれない。今年2月の宮崎キャンプはB組スタート。開幕もファームで迎えた現実が、置かれている立場の厳しさを物語っている。そうした状況下で、この日にリチャードが見せた〝たたずまい〟と結果には、大きな成長の跡が見て取れた。 「ホント、自分のスイングをしようと思って、ずっと打席に入っているんです。4打席目だって、4三振する可能性もあったと思います。でも、そこにたまたま、甘い球が来て、打てました。最後も、向こうが勝負してくれた。なんで勝負してくれたのかは分からないですけど、とにかく自分のスイングをしていけば、たぶん、きょうは打てる、と思っていたんで」