名スカウトが選んだ今夏甲子園の光ったドラフト候補13人
夏の甲子園大会は大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた。ドラフト候補で言えば“不作”と言われた大会でかつてヤクルトの敏腕スカウトとして活躍した片岡宏雄さん(78)の目に留まったドラフト候補は誰か。片岡さんに手渡されたメモには投手5人、野手8人の名前が書かれていた。計13人の“片岡セレクト”の中で、二重丸がついていて「間違いなく1位で消えるだろう」と惚れ込んだのは健大高崎の「3番・ライト」の左打者、脇本直人だ。 「高校時代のレベルで言えばイチローよりも上だと思う。今大会ナンバーワン野手だ。バットコントロールが素晴らしい。インサイドのボールに対しても、外、低めのボールへの反応もできていてセンスを感じる。独特のノーステップ打法から打球を飛ばすのは金属バットの影響もあるのかもしれないが、バックスイングで間をしっかりと作り軸がぶれない。また積極的に次の塁を狙い、足もある。スピードを含めて走攻守が揃っていて、インタビューのやりとりを見ていると、早々とプロ志望を宣言するなど性格的にもプロ向きだろう」。 ベスト16で大阪桐蔭に敗れ、チームは、そこで姿を消したが、脇本は4試合で16打数8安打、打率.500、7打点、6盗塁をマークした。高校通算57本にプラスするアーチは見られなかったが、その打球のほとんどを芯で捉えていた。 野手では超大型、智弁の岡本和真への評価も高かったが、片岡さんが「右の長距離法はなかなか出てこない逸材だが、守備(一塁)を考えるとパ・リーグ向きなのかもしれない。それよりも面白いのは」と、ピックアップしたのは優勝した大阪桐蔭の「2番・セカンド」の峯本匠。172、72キロと小柄ではあるが、「職人肌の選手。体格的には小さいが内野手に困っているチームは指名に動くと思う。走攻守が揃っていて、プロのスピードに負けないパンチ力も持っている」と評価した。峯本は決勝戦でも2安打を記録した。 今大会は、遊撃手に九州国際大の古沢勝吾、近江の植田海らのプロスカウトの評価の高い好素材が揃った。片岡さんが、その中で目をつけた遊撃手は、東邦の鈴木大輔、敦賀気比の浅井洸耶だ。「リードオフマンだった鈴木は、50メートル5秒8の足が魅力。浅井はパンチ力も秘めていて、敦賀気比の先輩である広島の東出の高校時代と重なる」。 ■野手編■ 脇本直人(健大高崎)180/80 左/右 外野手 イチロー以上の素材 岡本和真(智弁学園)183/95 右/右 一塁手 10年に一人の右の大砲 峯本匠 (大阪桐蔭)172/72 右/左 二塁手 魅力の職人肌 香月一也(大阪桐蔭)175/82 右/左 三塁手 打撃に可能性 鈴木大輔(東邦) 176/69 右/右 遊撃手 スピード感のある遊撃手 浅井洸耶(敦賀気比)177/68 右/右 遊撃手 広島の東出を彷彿 ■捕手編■ 清水優心(九州国際大付) 184/88 右/右 捕手 大型だけに鍛えがいあり 岡田耕太(敦賀気比) 173/78 右/右 捕手 捕手の3拍子揃う ■投手編■ 松本裕樹(盛岡大付) 183/80 右/右 投手 好素材だが肘痛で難しい評価 飯塚悟史(日大文理) 185/76 右/右 投手 長身をもう少し生かしたい 森田駿哉(富山商) 183/79 左/左 投手 スライダーキレあり 岸潤一郎(明徳義塾) 175/75 右/右 投手 完成度高く打撃にもセンスあり 山城大智(沖縄尚学) 176/77 右/右 投手 制球難を磨けばプロで通用