富士スピードウェイ周辺に次世代技術の森 フォレストビレッジ計画進む 静岡・小山町
富士山麓の自然に囲まれ、国内有数のサーキット「富士スピードウェイ(FSW)」に近い静岡県小山町大御神で、モータースポーツ関係人口の増加や次世代技術の創造、地域コミュニティーの拡大を図る新拠点「OYAMAフォレストビレッジ(仮称)」の建設計画が進んでいる。6日までの町などへの取材で分かった。トヨタ自動車などがFSW周辺で開発している体験型複合施設「富士モータースポーツフォレスト」に対する「裏通り」的なイメージのエリア構想で、相乗効果による町の活性化を目指す。 面積は東京ドーム一つ分より少し大きい約5万平方メートルを想定。同町と脱炭素や地域活性化などの包括連携協定を結ぶカクイチ(本部・東京都)が民有地を借りて整備し、2027年の第1期オープンを目指す。同社によると、域内を車、自然、宿泊研修、次世代産業などテーマの異なる七つのゾーンに分割する。首都圏などからFSWを訪れる人向けのガレージやコミュニティービレッジ、富士山を眺めながら企業研修が行えるホテル、環境調和型の企業を誘致する産業区画、食や文化の魅力を発信する道の駅的な農産物直売所などを設ける見込み。 同社はガレージや倉庫の製造販売、太陽光発電事業、ホテル経営、農業や水に関する研究など幅広い事業を展開する。フォレストビレッジはそれらの知見を生かし「サステナブル(持続可能)」を大きなコンセプトとして整える方針。町内の子どもたちから希望の声が多かった「森の中の図書館」も検討するほか、太陽光発電システムの導入などによる再生可能エネルギーのPR、防災拠点としての機能充実なども図る。 現在は、現地の測量や希少野生生物調査などを進めている段階。カクイチの田中離有社長(62)は「脱炭素や災害対策、関連人口の増加、新しい技術やふるさと納税返礼品の開発など、多彩な面で町に貢献できる可能性が高い」とし、「小山町からサステナブルな地域づくりのモデルを全国に発信したい」と意気込む。
静岡新聞社