【高校陸上】女子ハンマー投・工藤実幸乃(筑豊高)記録はランキングトップ 地元開催のインターハイで目指すは優勝
いよいよ、7月28日から福岡インターハイ(8月1日までの5日間/東平尾公園博多の森陸上競技場)が行われます。そこで、注目の高校アスリートをフォーカスするこのコーナーでは、地元優勝を目指す女子ハンマー投の工藤実幸乃選手(筑豊高3福岡)にご登場いただきました。今季は高校ランキングトップの記録を立て続けにマークし、さらに7月14日には高校歴代6位の56m36をスロー。高校日本一へ着々と準備を進めています。 工藤選手のプロフィールをチェック!
部活動見学でハンマー投にビビッと来た
――7月14日の福岡県国スポ選考会(学年別選手権)で自己ベストを更新する56m36をマークしました。 工藤 雨が降ったことでサークルが滑りやすく、よく足が回りました。勢いがついたお陰で、振り切った瞬間にハンマーがグンッと伸びました。初めての感覚でした。 ――この日は56m台を2本。念願の55mを大きく超えただけでなく、複数本残したことも自信になりましたか。 工藤 投げた直後は55m中盤くらいだと思ったので、記録をコールされたときは、「あれ?聞き間違いかな」と思ったほど。まさか56mまで伸びていると思いませんでした。インターハイと同じ博多の森陸上競技場で投げられたことは自信になりましたが、雨で滑りが良かったので、本番が晴れだった場合は同じようにはいかないだろうと思っています。 ――冷静な受け止めですね。今季は福岡県大会、北九州大会、U20日本選手権と安定して54m台を投げています。 工藤 今季が始まる前に、先生方と「一発を投げるよりも、アベレージを上げていこう」と確認しました。実際、そのとおりになっているのは、先生方が練習メニューをうまく組んでくれたお陰だと思います。 ――なぜ、アベレージを上げることを今季のテーマにしたのですか。 工藤 アベレージを上げながら、高い記録に挑戦していったほうが自信になるし、根拠のあるものになりますよね。大きいのを1本投げただけだと、次も投げないといけないとか、投げられるのかなという不安が大きくなるので、自信を築くためのアベレージなのかなと思っています。 ――自信は深まりましたか。 工藤 やっぱり自信はつきました。52、53mは普通に出せるので、楽に振っていこうという気持ちでサークルに入れています。 ――天候や気温に左右されない強さも感じます。 工藤 暑い日はよく身体が動くし、体温が高いほうなので、冬も割とすぐに身体は動きます。暑さ、寒さよりも、気にしているのは天候ですね。ハンマー投と円盤投は2足のシューズからコンディションを見て選んでいます。私は足を回すことができるので、滑りやすい条件はむしろプラスです。 ――インターハイ出場は3年連続(1、2年は砲丸投で出場)になります。 工藤 昨年(砲丸投で出場)は不安で、前日から取り乱していましたが、今年は今出せる力を出すだけなので、やるしかない、という気持ちです。結果よりも自分自身が納得できる試合ができるかどうかだと思うので、落ち着いています。今までの2年間とは、少し違う気持ちです。 ――3年生のインターハイを地元で経験できる。これも稀有な巡り合わせです。 工藤 中学の時に、私が高校3年生の年にインターハイが福岡で開催されることを知っていました。それを知ったとき、おこがましいかもしれないけど、「このインターハイは私のためにあるんじゃないか」と思いました。「ここで優勝を絶対するんだ」。そう決めて筑豊高校に入ったので試合が楽しみです。 ――筑豊高校なら、その目標が叶えられると思ったのはなぜでしょうか。 工藤 中学3年(北九州・石峯中)のとき、一時期ですが、陸上を続けるか迷った時期がありました。その時期に、中学の先生を通じて(筑豊高)現・顧問の佐々木幹雄先生に砲丸投を教えてもらう機会があり、「あっ、おもしろい」と感じて、(筑豊高の)オープンスクールに参加することにしました。その時の部活動見学で、ハンマー投を初めて生で見て、ビビッときました。私はここで、この種目をやるんだと感じたんです。親には、家に帰ってすぐに「私、筑豊に行くわ」と伝えました。 ――やったことのないハンマー投を見て、大きなインスパイアーを受けたんですね。まさに運命的な出合い! 工藤 よくドラマで、光が射してきて風が吹くみたいなシーンがありますよね。まさにそんな感じで、運命ってこういうことなのかなという感じがしました。 ――ご自宅から直方市の高校まで少し離れていますね。 工藤 電車だと乗り継いで2時間近くかかります。親に送迎してもらうこともあるので、周りに支えられているおかげで、競技を続けられていると感じます。