【対談】令和ロマンくるまxLINEヤフー会長「大喜利力は問題解決力」
次の10年のイメージは?
川邊:推す人にぜひ聞かせたい話ですね。推すことで推される人が研さんして、その姿から推す人が元気をもらい、また声援に変えていく。この「好循環」が広がると、社会はさらに元気になるはずです。最後にひとつ聞かせてください。くるまさんは20代で結果を出して「30 UNDER 30」に選ばれた。次の10年のイメージはありますか。 くるま:自分が面白くなるというより、お笑いを広げまくって人を幸せにしたいですね。これまでお笑いは粋の世界で、体系化・学問化されていませんでした。体系化すればほかの分野でも使えるようになって、世の中を明るくできる。他ジャンルの人とお会いするお仕事も増えてきましたが、写真撮って終わりじゃなくて、本当に一緒に仕事をしたい。目指せ、お笑いブローカーです。 川邊:いいですね。人生の先輩として言わせていただくなら、今お話ししたことを一生懸命やっていたら、10年後には今想像している以上のことができていると思う。10年後、答え合わせができる日を楽しみにしています! KEYWORDS 1|大喜利力 髙比良くるまが挙げたキーワード。大喜利とは、「お題」に対して複数の回答者が当意即妙に洒落の利いた回答をして面白さを競うもの。くるまは「お題からズレないようにしつつ、そこに創造性を加えて答える芸」とし、「大喜利力がある人は、現実の問題に対してもユニークなやり方で解決したり、解決できないにしても悲観したりしないでいい」と話す。 KEYWORDS 2|繁栄 川邊健太郎が挙げたキーワード。『人類とイノベーション』などの著者マッド・リドレーの著作『繁栄─明日を切り拓くための人類10万年史─』を指している。川邊は暗いムードに覆われそうな2025年だからこそ、冷静にファクトで「人類はきちんと前に進んで繁栄してきていることがわかる」ことが大切だと説く。 KEYWORDS 3|決めつけ くるまの挙げたキーワード。ネガティブな使われ方もする言葉だが、情報氾濫時代で、「ファクトを集めれば集めるほど何から考えていいのかわからなくなって、身動きが取れなくなる」とし、「『これが好きだ』と自分の世界を区切ってファクトを見ないと、しんどいだろうなと思ったから」と選んだ理由を説明する。 KEYWORDS 4|瞑想 川邊の挙げたキーワード。インターネットで検索すると、瞑想とは「目を閉じて静かに考えること。眼前の世界を離れてひたすら思いにふけること」。川邊は選んだ理由について、情報氾濫時代において、フェイクも含め情報が流れ込んでくるなかで「瞑想のように外と遮断する機会をつくらないと、どうにも生きにくい」としている。 KEYWORDS 5|宗教 くるまの挙げたキーワード。仏教やキリスト教のような宗教ではなく、自分をアゲテいくために「まるで宗教的な行動のように自分が100%でできるものを何かしら自分の外にもっていたほうが便利です。2025年がハードな一年になるなら、『一人ひとりにとっての宗教』がより大事になる気がする」と挙げた理由を説明する。 KEYWORDS 6|推し活 川邊の挙げたキーワード。「アイドルやキャラクターなどの『推し』、いわゆるごひいきを愛でたり応援したりする活動」のこと。川邊は自身が最近になってハロー! プロジェクトにハマり、「推し活」をしている。「推し活」による、推す人と推される人の間に起きる「好循環」が、世の中を良くする。 かわべ・けんたろう◎青山学院大学在学中の1995年にスタートアップ企業・電脳隊設立。2000年ヤフー入社。21年にZホールディングス社長。23年4月から会長。グループ再編に伴い、同年10月からLINEヤフー代表取締役会長。 たかひら・くるま◎慶應義塾大学中退。大学時代の2015年に松井ケムリと結成したお笑いコンビ「令和ロマン(旧・魔人無骨)」のボケ担当。18年にデビューし、6年目の23年に「M-1グランプリ」で優勝した。24年には史上初の大会二連覇を達成。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」受賞。
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