円安で海外留学はどう変化した? アメリカでの生活費は年300万円
チャレンジ精神が就活で評価
では、留学するとどんな成果を期待できるのでしょうか。トビタテの西川さんはこう話します。 「慣れない土地に行って生活する上では、当然、困難なことにも出合いますし、それを自分一人で乗り越えていかなければなりません。自分で道を切り開く『主体性』、簡単なことではへこたれない『タフネス』、多様な人とコミュニケーションを取りながら物事を進められる『コミュニケーション力』が身につくのが留学です。企業の採用担当者への調査でも、語学力だけでなく、留学経験者は『チャレンジ精神がある』などと高く評価されています」 以下が、企業の採用担当者から見た、高校生、大学生が海外留学することで身に付くと思う力についての調査結果です。 大学3年の冬から就職活動が本格的に始まるため、1年間の長期留学をするなら大学2年の秋から3年にかけて行くのがいいと言われています。しかし、そのためには1年秋までにTOEFLなど英語の資格試験の点数を留学先の基準まで上げておかなければならないため、現実には準備が整わず、大学3年から留学する人も少なくありません。その場合、就活に差し障るのではないかと心配になりますが、西川さんが「多くのトビタテ派遣留学生は1年休学をし、大学を5年間で卒業する選択をしています。それが就活で不利になるという話は聞いたことがありませんし、要は自分が何を得たか次第です」と言うように、1年間卒業が延びても、それ以上の武器を手にする可能性が留学にはあります。 もちろん4年で卒業したければ、最近はオンライン面接を実施する企業が増えたことで、海外にいながら日本企業の就活をすることも十分に可能です。
米ボストンで就活フェア
また、留学先で就活をする手もあります。 有名なのが、アメリカのボストンで毎年11月に開かれる就活フェア「ボストンキャリアフォーラム」(通称・ボスキャリ)です。これは日英バイリンガルのための世界最大級の就職・転職フェアで、海外留学生も参加対象となります。23年は170社を超えるグローバル企業が参加しました。当日は事前予約した企業のブースに行くと、その場で面接・選考が行われ、内定が決まるケースもあるといい、規模こそ違いますが、ロンドンやロサンゼルスなどでも同様のフェアが開催されています。 「3~4年次に留学して、ボスキャリなどで人気企業の内定を手にする学生も少なくありません。留学中に現地でインターン先を見つける学生もいます」(アゴス・ジャパンの松永さん) 留学をきっかけに多様な価値観を知って考え方は変化します。自分の目標がはっきりと定まったり、物おじしない積極性やコミュニケーション能力が高まったりして、自信がつくことで、就職活動がうまくいく学生もいます。また、語学力が身につくことで就活の対象が世界中に広がったりもします。留学の経験は学生を大きく成長させるでしょう。ただし、何事も「準備があってこそ」です。情報をしっかりと集め、計画的に進めることが大切です。