「自分が生きてきたすべての瞬間を…」 ヘスス・ナバス、セビージャに捧げたプロキャリア最後の25分間
セビージャの主将ヘスス・ナバスが、現役ラストマッチを終えた心境を明かした。 22日、最後の25分間をプレーしたセビージャの“生ける伝説”が現役を引退した。先の第17節セルタ戦で1-0の勝利を収め、本拠地『ラモス・サンチェス・ピスフアン』での大団円となったヘスス・ナバス。そんな中で迎えた“正真正銘”のラストマッチは、レアル・マドリードとのアウェイ戦に。それでも、試合開始前に『サンティアゴ・ベルナベウ』から万雷の拍手を浴び、両チームの選手にはパシージョで称えられると、65分に途中出場した際にも観客から最大の敬意を払われた。残念ながら2-4で敗北を喫したものの、敵味方問わず祝福を受けた素晴らしいエンディングを以て、約22年間のプロキャリアを終えている。 試合後、ヘスス・ナバスはミックスエリアに登場。去来した心境を明かした同選手は、「今日はスペクタクルだった。ライバルのピッチで、あんな光景を見たのは生まれて初めて。クレイジーだったよ」としつつ、「最後の数分間は何も見えず、自分が生きてきたすべての瞬間を、セビージャとスペイン代表に与えた喜びを思い出しながらプレーしていた。これほど多くの人を幸せにできたことは、またとないこと」と涙ながらに振り返った。 またヘスス・ナバスは、セビージャの公式メディアにて「僕はセビージャのために、そしてスペイン代表のためにすべてを捧げてきた。ひたむきにね。多くのことを成し遂げきたけど、受け取った愛情は信じられないほど」と告白。続けて「僕は妻、家族、両親、子供たちのことを思い出す。みんなに感謝し、とても愛していると伝えたい。彼らは困難なときでさ、常に僕のためにそこにいてくれた。だから僕は、良いプレーで喜びを与えることができたと思っている」と感謝を口にした。 ここ数カ月は腰の痛みが悪化しており、かねてより「フル出場すれば2~3日は歩けなくなる」と身体は悲鳴を上げていたが、ヘスス・ナバスは「僕の人生はフットボールだ。さよならを言うのは難しいよ。今年は腰の問題も悪化した。でも、極めて冷静だし、自分が成し遂げてきたことに誇りを持っている」と万感の思いを語っている。 亡き友の意思を継いだ“16”が39歳を迎えた今、スパイクを脱ぐ。マンチェスター・シティに在籍した時期もあったが、自身のプロキャリアの大半をカンテラから過ごしたセビージャに捧げ、クラブ歴代最多出場記録(公式戦通算704試合)を保持している他、4度制覇したヨーロッパリーグを筆頭に複数タイトルを獲得した。また、スペイン代表でもEUROを2度、ワールドカップを1度、ネーションズリーグを1度優勝した実績があり、同国代表歴代最多タイトル保持者でもある。ヘスス・ナバス。偉大なるレジェンドが見せた「僕の特徴は献身と犠牲」は、セビージャの新たな礎になるに違いない。
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