ラーメン店の倒産が過去最多に。個人店が苦戦する中、規模を拡大する“人気チェーン”の存在感
独立して開業した人気チェーンも
ちなみに、来来亭から独立して開業し、チェーン展開したのが、北白川の魁力屋で、こちらは株式上場している(2023年12月、東京証券スタンダード市場)。来来亭のラーメンは、京都風醤油味の鶏ガラスープに背脂をふんだんに浮かせているのが特徴である。 表面に背脂、中は澄んだ鶏ガラベースのスープなので、コクがあるのに口当たりはスッキリ! 最後まで飲み干せるスープになっている。麺はコシのある細麺で、スープとよく絡んでいる。年齢・性別を問わず皆様に「美味しい」と言ってもらえるラーメンを作りたいというのが、当然ながら店の経営方針だ。 筆者の知人である厨房機器の直販メーカーに聞くと、30店舗くらいまでは、豆田社長自身が自社の担当者と直接に交渉をしていたが、さらなる店舗数の拡大戦略を目標としたことを契機に、戦略策定と運営を分離させた組織に刷新。各担当者に、権限と責任を明確にした組織運営に変更したという。 店舗以外でも、大手コンビニ・ファミリーマートで2016年10月から監修した「カップ麺」、そして2022年からは3年連続期間限定で「冷やし中華」「チャーハンおにぎり」を販売。ブランド認知力のさらなる向上に貢献しているようだ。今後も安定した経営基盤で、確実な店舗展開を目指すようである。
1000円の壁に苦労する個人ラーメン店
そもそもラーメンの価格は「1000円の壁」と言われ、いかに1000円以下に抑えながら生き残るかに腐心している。そのため粗利益が高い他の商品の品揃えで利益を確保し、経営を維持しなければならず、町中華メニューの充実を図る発想も必要だ。 地域で存在感を増す町中華やガチ中華(本場そのものの味)は、個性豊かで独自の強みを持っており、店を支える家族と常連さんで一体感が醸成されている。中華料理店は店舗数5万5000店舗、市場規模は1兆1629億円で内訳は中華料理5686億円、ラーメン店5560億円、その他が382億円となっており人気の業種である(全国中華料理生活衛生同業組合、2018年)。 独自のメニュー構成が特徴で、このオンリーワン戦略を展開すれば差別化が図れ、客はファンとなるものだ。ラーメンをロスリーダーにしてお客さんを吸引し、町中華の一品メニューの販売で利益を稼ぐのもいいだろうし、事実、それで成功したお店もある。 例えば、麻婆豆腐などは10%程度の原価であり、その他一品も30%程度に抑えればトータル原価は35%程度に抑制可能だろう。店の看板ラーメンは、食材費が高騰しても値上げするの難しいが、中華一品メニューなら代替食材に変更したり、量の配分調整が可能だから、原価調整がしやすい。