境内の落ち葉の下から縁起いい「白蛇」…発見した宮司が直感で新たな祠増設、凶事からの「脱皮」祈る
来年の干支(えと)「巳(み)」は蛇に縁があるとされ、脱皮をして成長を遂げる姿から「復活や再生の年」などと解釈されることが多い。そんな折、和歌山市の和歌浦天満宮は境内に新たな祠(ほこら)を設け、〈蛇の神様〉を祀(まつ)ることにした。その理由は――。(佐武建哉)
10月5日の早朝。小板政規宮司が境内を清掃していると、手水舎近くの落ち葉の下から白い蛇が姿を現した。数年前には死んだ白蛇を見つけたこともあった。
蛇は農作物を荒らすネズミの天敵でもあり、古くから縁起のいい動物と考えられてきた。また蛇は、豊穣(ほうじょう)をもたらす水の神として尊ばれる「弁財天」の使者ともされ、開運や財運などに御利益があるとして寺院や神社で祀られる例が多い。
同天満宮にも本殿近くに白蛇の神「白藤巳大明神」の祠があるが、小板宮司は10月の出来事を受け、「白蛇姿の神様が『もっと手厚く祀って』と言われている」と“直感”。来年は巳年という巡り合わせもあり、白蛇を見た場所に近い手水舎に別の祠を設け、大明神の分霊を祀ることにした。
今月19日。新たな祠の鎮座祭が営まれた。小板宮司が祝詞を奏上し、蛇の大好物だとされる卵のほか、水や酒かす、パンなどが奉納された。これらの奉納物は祭典後、パン屋やケーキ店に「お下がり」として渡され、特製の商品の原料として使われた。
小板宮司は「米不足や猛暑などの凶事から、来年は『脱皮』することを祈った。また、小型ロケット『カイロス』の打ち上げが次こそ成功するようにとの願いも込めた」と話した。
同天満宮は新たに御朱印とお守りも準備。米大リーグの大谷翔平選手がメジャー史上初となる「50本塁打、50盗塁」を達成したことにちなみ、いずれも500円(各500点限定)で授与している。
元日と3日には梅酒を振る舞う(なくなり次第終了)。問い合わせは同天満宮(073・444・4769)。