「トランプ候補」に賭けるマスク氏、プーチン大統領と裏取引?…「2年間秘密対話」
自動車企業テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が過去2年間、ロシアのプーチン大統領と秘密裏に意思疎通をしてきたと伝えられ、論議を呼んでいる。米国の安全保障の危害になるのではという懸念も出ている。 ウォールストリートジャーナル(WSJ)は24日(現地時間)、米国と欧州、ロシアの元・現高官らを引用し、マスク氏とプーチン大統領が2022年末から定期的に意思疎通をしてきたと報じた。 特にプーチン大統領は昨年末、マスク氏に「台湾にスターリンクサービスの提供をするな」という要請もしたと伝えられた。これはプーチン大統領が台湾と対立する中国のために要請したとみられる。戦争勃発地域ではスターリンクを除いて一般インターネットの接続が事実上不可能だ。 マスク氏は「ブラジルのトランプ」と呼ばれたボルソナロ前ブラジル大統領をはじめ、「アルゼンチンのトランプ」ミレイ・アルゼンチン大統領など保守陣営の「ストロングマン」と親密な関係を築いている。 しかしマスク氏とプーチン大統領が長期間にわたり意思疎通をしてきたという事実が伝えられたのは今回が初めてだ。 マスク氏とプーチン大統領が初めて対話することになったきっかけは確認されていない。 ただ、マスク氏は2022年10月、X(旧ツイッター)で宇宙をテーマに対話をしていた中「プーチン大統領と対話をしたことがある」でコメントした。 マスク氏の伝記を書いたウォルター・アイザックソン氏の伝言によると、マスク氏は2002年にはモスクワを訪問し、ロシアのロケットを購入するための交渉もした。 WSJは、マスク氏とプーチン大統領の意思疎通が始まった2022年はウクライナ戦争のためロシア側がマスク氏に強い不満を吐露した時期だ、と指摘した。 当時ロシアはスターリンクがウクライナのアゾフ連隊にサービスされているとし、公開的にマスク氏に問題を提起した。アゾフ連隊は港町マリウポリでロシア軍に3カ月間対抗したウクライナの精鋭部隊だ。 当時ロシア政府はマスク氏の事業だけでなくマスク氏に対しても露骨な脅迫をしたというのが情報筋の伝言だ。 マスク氏はその後、ウクライナ戦争に対してロシアに有利な立場を見せ始めた。 マスク氏は米国政府がウクライナに武器支援をするのを公開的に批判した。またウクライナ軍がロシアが占領したクリミア半島を攻略しようとすると、スターリンクの接続を遮断したとも伝えられた。半面、インターネット接続が不可能だったロシア軍は最近、第三者を通じてスターリンクに接続しているというのがウクライナの主張だ。 マスク氏とプーチン大統領の関係に対する懸念の声も強まる雰囲気だ。米航空宇宙局(NASA)や国防総省とのスペースXの契約で米政府の秘密事項に接近が可能なマスク氏が敵対国のトップと秘密裏に対話をしていること自体が安全保障を脅かすということだ。 10日先に迫った米大統領選挙でトランプ前大統領を全面的に支援しているマスク氏は、トランプ候補が当選する場合に入閣する可能性にまで言及されている。 この数週間、マスク氏はトランプ候補のペンシルベニア州での演説に参加し、共和党への投票呼びかけやデジタル広告資金など7500万ドル(約1140億ドル)を後援した。 トランプ候補は自身が再選に成功すれば官僚主義の最小化を目標とする「政府効率化委員会」を新設し、マスク氏がこれを率いるよう要請すると明らかにした。 マスク氏はトランプ政権に入れば自動運転車に対する連邦承認手続きを進めると述べた。