震災語り部、三陸に学ぶ のと鉄道 女性社員3人岩手に派遣 9月デビュー控え
元日に発生した能登半島地震の記憶と教訓を伝える「語り部列車」の運行に向け、のと鉄道(穴水町)は23日、語り部を務める女性社員3人を三陸鉄道(岩手県宮古市)に派遣した。3人は東日本大震災を機に運行が始まった「震災学習列車」に乗車して現地ガイドの様子を見学、9月に予定されるデビューに向けた参考とした。 ●「学習列車」に乗車 三陸鉄道に派遣されたのは、観光列車「のと里山里海号」のアテンダント宮下左文(さふみ)さん(67)、牛上智子さん(47)、坂本藍さん(44)。 岩手の沿岸部を走る三陸鉄道は、2011年の東日本大震災の翌年、地震の教訓を伝える震災学習列車の運行を開始。小中高校生の修学旅行や企業の研修旅行に利用され、これまでに約9万人が乗車した。 23日、3人は宮古駅を出発した震災学習列車の回送列車の車内で、三陸鉄道社員と意見交換しながら鵜住居駅(釜石市)に到着。同駅で地元の団体客約30人が乗り込み、三陸鉄道旅客営業部の千代川らんさんがガイドをする様子を見学した。 列車は津波や火災で被害の大きかった大槌駅や陸中山田駅周辺などで速度を落として運行し、岩手県山田町出身で被災した千代川さんがパネル写真を使って被害の状況を説明した。列車は1時間15分かけて宮古駅に着いた。 3人は宮古市田老地区に移動し、宮古観光文化交流協会による「学ぶ防災ガイド」の案内で、被災した状態で保存されているホテルなどを訪れた。 三陸鉄道旅客営業部の橋上和司部長は「被災した鉄道会社同士、手を取り合っていきたい」と話した。 アテンダントの宮下さんは「震災の体験や聞いたことを淡々と話すだけでなく、次に災害があった時にどうすべきかを利用客に伝えていきたい」と話した。 のと鉄道は、元日の地震で崩れた土砂がトンネルをふさぐなどの被害を受け、3カ月間の全面運休を余儀なくされた。4月6日に地震前より運行本数を減らした臨時ダイヤで全線再開し、今月20日に通常ダイヤに戻った。