新NISAで買える投信(7)、希少な「隔月分配型」は多様な分配原資と分配実績に注目
たとえば、公的年金は毎月偶数月の15日に2カ月分が支払われるため、奇数月に投資信託の分配金を受け取って年金の支払いがない月の収入を補うという考え方もできる。1800万円の資金に年4%の分配金利回りがあれば、隔月の分配金受取額は12万円になる。国民年金(老齢基礎年金)の満額は6万6050円(2023年度、68歳以上。67歳以下は6万6250円)なので、2カ月分は13.21万円(68歳以上)。仮に、1800万円の資金がNISA口座にあり、年4%の分配金利回りがあれば、隔月で奇数月に分配金を受け取ることで、老齢基礎年金の受給と合わせて毎月12万円程度の収入を得ることができる計算だ。ある程度の金融資産がある年金暮らしの人には、有効な資産活用法といえるのではないだろうか。
1800万円の資金がなく、その金額が1000万円だとしても、年4%の分配金利回りがあれば、隔月で6.6万円の収入が得られる。この分配金利回りが投資信託の年間収益に対して無理のない水準の支払額であれば、保有している資産は、実質的にほとんど減らすことなく、年金生活の生活費を上乗せすることができる。NISAによって収益に対する20%分の課税が免除されることのメリットは、分配金の手取り額を確認した時に大きな恩恵を感じるだろう。
資産活用層にニーズがあると考えられる「隔月分配型」の投資信託は、3月12日現在の「成長投資枠」の対象ファンド1883本のうち、わずか94本しかない。全体に対する比率は4.99%だ。圧倒的に年1回決算型(基本的に分配金を払い出さずに投資信託の中で配当等を再投資して資産価値を高めるタイプ)が多く、全体の約70%を占める1298本になっている。また、「隔月分配型」の中にも資産形成に力点があって分配金の払い出しを抑えるタイプのファンドもある。分配金の払い出しが手厚い投資信託を選びたい場合は、個々の投資信託の分配方針や実績などをよく確認して選ぶようにしたい。