社説:女性当選者最多 国会「均等」へ踏み込め
先の衆院選で、女性の当選者が過去最多の73人となった。前回2021年の衆院選より28人増え、当選者に占める割合も6ポイント増の15・7%と最も高くなった。 「政治とカネ」を巡る問題で政権への批判が強く、与党の現職が落選し、野党の女性ら新人議員が多く生まれた面が大きい。 ただ、最多とはいえ男性の4分の1に満たない現状は、実社会の反映に程遠い。京都府、滋賀県でも小選挙区の当選者は男性が占め、女性は比例復活の2人だけだ。 各党は男女間の著しい不均衡が続く要因を取り除き、国会が多様性ある意思決定の場となるよう大きく踏み出すべきだ。 党派別で、女性当選者数が最も多いのが立憲民主党で30人。自民党19人、国民民主党6人と続く。ただ立民でも女性比率は20%にとどまる。 そもそも今衆院選の女性候補者数も314人と過去最多ではあったが、全体の23%程度。女性候補者を35%とする政府目標には、多くの政党が届いていない。 特に自民は16%で、それも裏金事件に関わった議員の比例重複を認めなかった代わりに、女性らを名簿順位の下位に追加して形を取り繕った結果である。 自民は昨年、10年間で所属する国会議員の女性割合を3割に引き上げる計画を作ったが、今回の当選者の女性割合も約1割にとどまり、本気度がうかがえない。 議員立法で2018年に施行した「政治分野における男女共同参画推進法」は候補者数を男女均等にするよう政党に求めている。各党は法制化の責任を踏まえ、来年の参院選でこそ順守してほしい。 女性の政治参画は、世界的に見ても後れを取っている。国連の女性差別撤廃委員会は先月に公表した最終見解で、女性が選挙に立候補する場合、300万円の供託金を一時的に減額する措置をとるよう日本政府に勧告した。 高すぎる供託金が障壁となっていることを指摘し、より女性の参加を促した。政府や各党は重く受け止め、改善策に向けた検討を始めてもらいたい。 女性に議席の一定数を割り当てるクオータ制の導入も、石破茂首相は総裁選で「選択肢の一つ」との考えを示していた。国民民主は衆院選公約で導入を目指すとした。積極的な議論を期待したい。 候補者の子育てや介護に対する支援の拡充やハラスメント対策の強化も含め、女性が立候補したいと思える環境整備が急務だ。