鳩山由紀夫氏は政倫審を拒否していた…「民主党政権の悪夢」こそが岸田首相の守護神である
政倫審を拒否した鳩山首相
今、野党は政治倫理審査会を開くように要求し、自民党では安倍派(清和政策研究会)の事務総長経験者4人を出席させた。野党は「誰が裏金を再開させたのか。西村康稔前経産相と塩谷立元文部科学相の発言の食い違いを首相は指揮を執って、解明すべきだ」(辻元清美立憲民主党代表代行)というが、疑惑が明るみになった際、鳩山氏が政倫審の出席すら拒否したことを忘れているのだろうか。 民主党はまんまとこの疑惑に蓋をして、政権の奪取に成功したことを野党、特に民主党を母体として誕生した立憲民主党は自ら顧みたことが一度でもあるだろうか。 しかも追及の急先鋒に立っている辻元代表代行にしても、02年、社会民主党在籍時、公設秘書の給与1870万円をだまし取ったとして、東京地検特捜部に逮捕され、懲役2年、執行猶予5年の判決が確定している。むろん罪を償った以上は問題ないというのが建前にせよ、ほかに適任者はいなかったのだろうか。 国民の期待を受けて、自民党から政権を奪取し、国民の期待を一身に受けながら、相次ぐ「政治とカネ」問題で支持率を急降下させたのは、ほかならぬ民主党政権であり、その反省もなく、自民党に倫理を問うても当時を知る国民はしらけるばかりだ。 岸田政権が低空飛行を続けつつ、政権を維持し続けるのは、そんな野党の体たらくにも少なからぬ責任があるのだ。
三枝玄太郎(さいぐさ・げんたろう) 1967年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1991年、産経新聞社入社。警視庁、国税庁、国土交通省などを担当。2019年に退職し、フリーに。著書に「十九歳の無念: 須藤正和さんリンチ殺人事件」など。 デイリー新潮編集部
新潮社