ブラジル地元紙が大々的に報道。本田の左足に気をつけろ!
2014年W杯アジア最終予選は、ブラジル国内でも全試合がテレビで生中継されていた。コンフェデ杯で日本がブラジルと同組となって以降、ザックジャパンの試合は、ブラジル国内でもかなりの注目を集めていた。 日本対オーストリア戦の中継で、解説者を務めた元ブラジル代表MFロジェールは、「日本には、キープ力があり、パワフルで得点能力も高い本田、俊敏でスペースへ入り込むのがうまくテクニック抜群の香川ら能力の高いアタッカーがおり、ザッケローニ監督からの指示を忠実に遂行する規律正しいチーム」としながらも弱点を指摘することも忘れなかった。「守備陣はハイボールの処理に難があり、セットプレーで脆さを見せる。攻撃面では、決定力が高いCFが不足している」 そして、ブラジル対日本のコンフェデ杯での試合予想について「ブラジルは、昨年末に監督が交代して、チーム作りが後退しており、‘現在工事中‘。攻守両面で連携が不十分だ。それでも、大会前の約二週間の合宿で完成度を高めるはず。ホームゲームでもあり、ブラジル有利は動かない」と結論づけた。 5月21日には、サンパウロの有力日刊紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」が、スポーツ欄の一面全部を使って日本代表を紹介している。その中で「日本の強みは、スピード、テクニック、戦術的な従順さ、チームワーク。弱点はフィジカル能力の低さ、一部の選手の国際経験不足」と長所と短所を分析。「アジア最終予選のイラク戦の後、中東から飛んできてまもなくの試合となるので、コンディション面の不安もある」と付け加えた。 また、ブラジル対日本の開幕戦が行なわれる首都ブラジリアの有力紙「コレイオ・フラジリエンセ」は、試合前日の14日、スポーツ面の2面全部を使ってザックジャパン特集を組んだ。破格の扱いだ。試合の展望がメイン原稿で、日本への警戒心が見られる。 ブラジルと日本の基本システムは、いずれも4-2-3-1。去年10月の対戦では日本が高い位置からプレスをかけてきたが、ブラジル選手がそれをかいくぐった後に出現したスペースを利用して得点を重ねた。今回、日本は同じ失敗は繰り返さないはずで、やや引き気味の守備ラインを敷くだろう。ブラジルはサイド攻撃、ボランチの攻め上がり、CBからのピンポイントのロングパス、セットプレーなどを織り交ぜた多彩な攻撃で、日本の守備ブロックを崩したい。守備面では、本田からの決定的なパスと左足シュート、香川と岡崎のスペースへ入り込む動き、長友、内田の両サイドバックのオーバーラップに気をつける必要がある」 自国でのFIFA公式大会の開幕戦ではあるが、地元メディアも指摘しているように、現時点におけるセレソンの状態は必ずしも良くない。また、決勝までの5試合を戦うつもりでいるから、初戦にコンディションのピークを持ってくることはない。日本の成長も、的確に認識している。そう考えると、ザックジャパンが一泡を吹かせる可能性はなくはないはずなのだが、「ブラジルの勝利は動かない」というのが大方のメディアと国民の見方である。 (文責・沢田啓明/ブラジル在住ジャーナリスト)