電動キックボードで「飲酒運転」続発、レンタル最大手Luupの監査役に元警視総監が就任する狙いとは?
● 飲酒運転の検挙数の割合は非常に高い! 内閣府によると、2023年7月から12月までに発生した特定小型原動機付自転車に関連する交通事故件数(特定小型原動機付自転車が第1または第2当事者となった事故件数)は85件で、死者数は0人、負傷者数は86人とのこと。あなたは、この事実をどう受け取りますか? 私は、「この期間はたまたま死亡者が出なかっただけ」だと思います。一方、同期間の取り締まり件数は7130件で、このうち酒気帯び運転が37件に上ります。クルマやバイクなど全ての車両における22年の飲酒運転(酒気帯び運転および酒酔い運転)検挙数は1万9820件です。日本の自動車、二輪車保有台数は8000万台以上ですから、保有台数に対する検挙数の割合は概算で0.025%となります。 対して、特定小型原動機付自転車の保有台数の公式データはありませんが、23年で約2万台と言われています。37件は6カ月間の数字ですから、特定小型原動機付自転車の保有台数を2万台として概算した検挙数の割合は0.37%となり、非常に高いことが分かります。 海外に目をやると、フランス・パリではレンタルの電動キックボードを廃止し、カナダのモントリオールでは完全に禁止しました。歩道と自転車道だけで利用できたシンガポールでも、歩道での使用が禁止となりました。海外では規制が厳しくなり、衰退気味の電動キックボードですが、日本ではなぜか勢いがあります。
● Luup監査役に「元警視総監」の不可解 そうした中、電動キックボードのレンタル最大手であるLuupが、10月16日に社外取締役と監査役を迎え経営体制を強化すると発表しました。監査役には、元警視総監の樋口建史氏の名前があります。 樋口氏はどのような経歴なのか? インターネットで調べた限りですが、東京大学法学部を卒業後1978年に警察庁に入庁。警視庁公安部や和歌山県と北海道の警察本部長、警視庁警務部長、警察庁生活安全局長などを経て2011年に警視総監に就任、13年に退官されています。 この経歴の限りでは、交通関係に直接は関わってこなかったようです。そうした人物がLuupの監査役になったからといって、Luupユーザーの順法意識が高まったり、運転マナーが良くなったりということは期待できない気がします。 とはいえ、Luupとしては何らかのメリットがあるから、樋口氏を監査役として迎えたのでしょう。警視総監経験者の再就職先は実に多彩ですが、パチンコ・スロット関連に再就職されている人もいらっしゃいます。 なんだか日本ってつくづく変だなあと思うのは、私だけでしょうか?
諸星陽一