紅白初出場の「第7世代」新浜レオン 心に秘めた歌手としての揺るぎない決意とは
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 第75回NHK紅白歌合戦の出場者が発表された。白組で、ポップスだけでなく演歌・歌謡曲系の顔も持つ新浜レオン(28)が初出場を決めた。 近年、演歌・歌謡曲系の歌手が激減し、紅組白組とも横文字系の大人数グループやアーティストが並ぶ中で、新浜の選出はとても新鮮だ。 令和となり、演歌・歌謡曲の世界で「第7世代」と呼ばれる歌手が台頭して来たことから、記者は日刊スポーツ・コムで「われら第7世代!~演歌・歌謡曲のニューパワー~」と題した連載を行った。その最初に登場してくれたのが、当時25歳の新浜レオンだった。 初対面で、その礼儀正しさに驚かされた。高校野球の強豪校で、甲子園を目指した主将だったからだろう。背筋をピンと伸ばし、相手の目をしっかり見て、ハキハキと答える。 その応対だけで、あっという間に親近感を感じ、引き込まれたのを覚えている。その後、別の取材で何度会っても、姿勢はまったく変わっていない。 新浜レオンのレオンは、ラテン語で「ライオン(獅子)」、ゲルマン語では「雷」を意味する。発音はとても柔らかな響きで、欧米では男の子の名前によく使われるが、実は強さを象徴する意味を含んでいる。 礼儀正しくて、少年のようなキラキラとしたまなざしと笑顔がとてもさわやかだが、心に秘めた歌手としての決意は揺るぎない。まさに、名は体を表すがぴったりの芸名である。 その連載で、紅白に関して、こう語ってくれた。 新浜 そうですね、やはり紅白歌合戦は最大の目標で、必ず実現したと思ってます。何より応援してくださる皆さんに、ステージからの景色をお届けしたいです。新浜レオンがあるのは、本当に応援してくださる皆さん、スタッフの皆さんがいるからこそです。だからこそ1歩1歩成長できると思っています。その最大の恩返しの1つとして、ぜひ出場したいです。 新浜の歌手としての使命は、令和を代表する歌手になることだけではない。演歌・歌謡曲の名曲を歌い継いでいくことにもある。 その実践として、新曲が発売されるたびに、過去の名曲の数々をカップリングに収録してきた。最近は通常盤A、B、Cなど複数枚を同時、あるいは追撃盤などの形で時差で発売するケースが一般的だ。 新浜の場合は通常盤だけでなく、「れおすけ盤」「がんばレオン盤」「盛り上がレオン盤」など、レオンの名前をもじった楽しいバージョンを出している。紅白の初出場者の会見でも、レオン語を連発した。 これまでカップリングとして収録したのは「青春時代」(森田公一とトップギャラン)「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)。「私鉄沿線」(野口五郎)「上を向いて歩こう」(坂本九)。「メモリーグラス」(堀江淳)「時の過ぎゆくままに」(沢田研二)「つぐない」(テレサ・テン)。「情熱の嵐」「激しい恋」「若き獅子たち」(いずれも西城秀樹)など。 新浜 スタッフのみなさんと相談しながら決めています。僕にとって、もちろん演歌・歌謡曲を、同世代を含め幅広い年代の方々に届けたいというのが1番のテーマです。そのためには、ポップスなどジャンルにとらわれない歌を歌うことも、若い人に聴いてもらうきっかけになると思っています。ジャンルにとらわれずに挑戦する気持ちは、大切にしています。 デビュー5周年の今年3月に、木梨憲武(62)がプロデュースし、所ジョージ(69)が作詞・作曲した新曲「全てあげよう」を発売。チャートを席巻しロングヒットを続け、所が今年の第66回日本レコード大賞の作曲賞を受賞した。 19年にデビューし、日本レコード大賞新人賞など数々の賞を獲得した。そして今年、紅白切符と、所の作曲賞といううれしい知らせも届いた。 最近の紅白では、演歌・歌謡曲系の歌手は過去のヒット曲か、名曲のカバーを歌うケースが多い。 レオンも過去の名曲を歌い継ぐ使命を持って頑張っているが、ぜひオリジナルを全国の視聴者に聴いてほしい。木梨と所が応援に駆けつけたら、大いに盛り上がるだろう。 それが紅白の、ひいては次代の歌謡界のためでもあるような気がする。【笹森文彦】