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残酷KOショーとなったメイウェザー対天心は無謀なマッチメイクだったのか?

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THE PAGE

勇気をもって前へ出た

 つまりボクシングのように公平性、安全性を求めると、RIZINが理想とする格闘技の醍醐味が消えてしまうというのだ。それはそうかもしれないが、まだ20歳の天心は、未来のある人である。榊原氏は「(今回をきっかけに)ボクシングにのめりこみ、早い段階で転向するかも」とも語っていたが、将来、ボクシング界を背負う人物になるかもしれない、そういう逸材を無謀なマッチメイクで潰してしまっていいのかの議論は必要だろう。  会見に出ていた天心の喋りも、どこかスムーズではなかったし、しきりにクビの付近をおさえていた。「今までダメージを受けたことがないのでわかんない。すぐ抜けるんじゃないか。ダウン取られるって、こんなんなんだ。今までこれを相手にやってきたんだと」と笑っていたが、2階級以上は上になるウエルター級のチャンピオンの一流のパンチを3発も浴びたのである。  榊原実行委員長は、「体重差のある試合はすべきでなかった? それはわかっている話で、そういうのを見たい人はボクシングを見ればいい。階級は重視すべきだと思うが、今回は競技の枠にはおさまらない競技で見られないものを見せようとした」とまで言ったが、それは余りに暴論だ。  RIZINのスタート当初は、総合格闘技の競技性を究極にまで高めたUFC超えを目指していたのではなかったか。  “ボクシング界の人”飯田氏は、「体重差が如実に出た。タオルの投入で試合が止まったのでギリギリ許される試合だったのかなとは思った。メイウェザーを本気にさせた天心は素晴らしかった。ただ10オンスのグローブではパンチを出す方も手加減が難しい。この体重差の試合では“やっぱりメイウェザーは凄い”“ボクシングは凄い”ともならないでしょう」という意見。  救いは、この敗戦を天心が前向きに受けとめていたことだ。 「メイウェザーは、パンチを避けてくるのかなと思っていたが、思い切り倒しにきてくれた。でも、どんなにピンチになっても、倒されても絶対に下がんないで勇気を持って前に出ようと思っていた。それはできたと思う。今日は悔しいですが、凄くいい経験ができた。自分しかメイウェザーを知らないんです。次もがんばれる気がします。もうこれ以上に怖いものはない。今日という日は忘れません」  少し涙ぐんだ。 「ちょっと打とうとしたらフェイントをしてくる。一流だなと思った。収穫は、メイウェザーから、フェイントだったり、ポジショニングだったり、パンチの打ち方だったりを盗めたこと。ただ真似るのはボクシング技術だけ。ふだんの態度は真似したくない(笑)」    筆者は会場を出る人たちに混じって会場からインタビュールームへと向かった。 「凄かった」 「やっぱりメイウェザーは強いなあ」 「体重差がかわいそうだった」  ファンは口々にそんな話をしていた。  確かにエキシビションであることを忘れるほどの緊張感と迫力があって試合としては、眠たくなるような内容のボクシングの世界戦よりも、よほど面白かった。しかし“約束のTKOショー”を見せられた後味の悪さが残った。  榊原氏は、「再戦はない」という話をしていた。 「みんなに勇気を与えることはできた。もっと強くなりたいと思った」  天心が人生初のKO負けというリスクと引き換えに手にした決意が重たかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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