日本株は「軟調な展開」も、上昇すると予想。業績相場に入ることで下値は限られそう ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2024年4月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。
1.概観
【株式】 4月の主要国の株式市場は、まちまちの動きとなりました。米国株式市場は、雇用統計や消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が大きく後退して長期金利が上昇したことを受けて、調整しました。NYダウは6ヵ月ぶりの下落となりました。欧州の株式市場では、ドイツDAX指数が下落した一方、早期利下げ期待からポンド安が進んだことを受けて英FTSE指数が上昇しました。日本の株式市場は、米国株式市場の調整や中東情勢の緊迫化が重石となり、日経平均株価が4ヵ月ぶりに下落するなど、軟調な展開となりました。一方、中国株式市場は、中国当局の政策期待から投資家のリスク選好姿勢が強まり、上海総合指数、香港ハンセン指数ともに上昇しました。 【債券】 米国の10年国債利回り(長期金利)は、インフレの根強さを示す経済指標が相次ぎ、FRBの利下げ観測が大きく後退したことから大幅に上昇しました。ドイツの長期金利は、欧州中央銀行(ECB)が次回6月の利下げ転換の可能性を示唆したものの、米長期金利に連れて上昇しました。日本の長期金利は、米長期金利の上昇と円安が進行するなか、追加利上げの観測が高まったことから上昇しました。 【為替】 円の対米ドルレートは、日銀が4月会合で金融政策を維持したことを受けて、日米金利差が開いた状況が長く続くとの見方が強まり、大幅に下落しました。 【商品】 原油価格は、地政学リスクへの過度な警戒感が後退したことや、米利下げ開始が遅れることが景気を冷やし、原油需要を抑制するとの見方から下落しました。
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