（写真：ダ・ヴィンチWeb）

　老後2,000万円問題が話題にあがったり、将来必要なお金について、なんとなく不安に思っている人は多いのではないだろうか。でも、つい面倒くささや難しさを感じ、お金と向き合うことを後回しにしてしまいがち。はちみつコミックエッセイから刊行されている『お金の不安と真剣に向き合ったら人生のモヤモヤがはれました！』』（横川楓・シロシオ/オーバーラップ）は、現代社会に生きる多くの人々が抱えるお金に関する不安や悩みとの向き合い方を教えてくれるコミックエッセイだ。 【漫画】本編を読む

　物語の主人公は、茉奈、優子、彩香、さくらの4人。異なる背景や性格を持つ4人は、お金に関してそれぞれ課題を抱えている。茉奈は現状を直視できず、計画性のない生活を送る日々。優子はデジタル化への抵抗感から、アナログにこだわる。彩香は投資に対して疑心暗鬼。さくらは将来のお金の不安から希望を見出せずにいる。 　お金に漠然とした不安を持つ4人に対し、マネーの妖精メープルさんが金融や経済の話題をわかりやすく解説しながら物語は進む。親しみやすいキャラクターのおかげもあって、すんなりと学びを得られるのも嬉しいポイントだ。また4人の主人公たちの多様な性格や状況設定により、読者は自分の経験や感情を重ね合わせながら物語を楽しむことができるのも魅力である。 　このお金に対する漠然とした不安や恐れはどこからやってくるのか？ 多くの人が感じる不安や恐れの理由を知ることができる本作は、単なる金融知識を語るにとどまらず、主人公たちが自分の課題と向き合い、小さな一歩を踏み出す過程が丁寧に描かれており、読者自身もお金に向き合うきっかけをくれる。 　本作は、お金の話題がタブー視される傾向にある中で、もっと家族や友人など身近な人とお金について率直に話し合うことの重要性を教えてくれる。金融リテラシーを高めたい人、お金の不安を解消したい人、そして人生を前向きに変えたい人にとって、貴重な1冊となるはずだ。読了後には、自分も何か新しいことに挑戦してみようという前向きな気持ちになれるだろう。 文＝ネゴト / Ato Hiromi