強引なメジャー移籍でプロ野球「空洞化」の危機…球団とエージェントの関係の見直すタイミング
イ プロ野球組織は、令和6年9月2日、前記アの行為を取りやめる旨を決定(注2)した。 (注2)公正取引委員会が本年8月から審査を開始し、前記アの独占禁止法違反被疑行為について問題点を指摘し、早期の取りやめの検討を求めたことを受けて行われたものである。 ⑵ プロ野球組織の前記⑴アの行為は、独占禁止法第8条第4号に該当し、同条の規定に違反するおそれがあることから、公正取引委員会は、プロ野球組織に対し、今後、前記⑴アと同様の行為を行わないよう警告した。
この場合の代理人(エージェント)と、芸能活動などをする際のエージェントは厳密にいえば違うが、その境界線はあいまいである。 日本の野球界とエージェントの関係は、まさに過渡期にあると言える。 MLBでは、FA(フリーエージェント)制度の導入以降、多くの選手がエージェントと契約し、エージェントを介して、球団と厳しい交渉のやりとりをするようになっている。 今では、マイナーリーガーも含め、多くの選手が代理人契約をしている。筆者はオフになるとMLB球団とマイナー契約をした日本人選手の取材をすることがあるが、まだ入団前なのに「代理人に聞いてみます」と言われることもある。
しかしMLBとの選手の人的交流が盛んになるとともに、エージェントの重要性はますます強まっている。 ■報じられる「エージェントの暗躍」 今、大きな話題になっている千葉ロッテからポスティングでの移籍を目指す佐々木朗希についても「エージェントの暗躍」が報じられている。 なぜ、佐々木朗希は、MLB球団に移籍する際に大きな譲渡金(ポスティングフィー)が支払われる「ポスティング年限=実働6年、25歳以上」を待たずにMLBに移籍しようとしたのか? また、それを球団はなぜ許したのか?
2019年に佐々木がドラフト1位でロッテに入団する際に、何らかの「約束」があったのではないかという報道がある。そう考えないと今回の「移籍劇」は説明がつきにくいが、球団も佐々木サイドも否定している。 佐々木は移籍の前に「プロ野球選手会」を脱退している。実は、2023年オフにドジャースに移籍した山本由伸も選手会を脱退している。プロ野球選手会は「FA制度」「ポスティングシステム」などで、選手の権利を拡大するための働きかけをNPB球団に対して働きかけている。山本や佐々木の移籍を否定するような見解を出すとは考えられないが、「嘴を挟まれる」ことを嫌って脱退したのだろうか。