【解説】「隆起」が“津波の防波堤”に 輪島市では約4メートル「隆起」
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能登半島地震の発生から11日がたち、この地震では、非常に珍しい現象が起きていたことがわかってきました。能登半島地震『隆起と津波』をテーマに、ここからは、日本テレビ社会部・災害担当の中濱デスクが詳しく解説します。
■能登半島地震「隆起と津波」 船が打ち上げられ、海底が歩けるように…
市來玲奈キャスター 「元日に最大震度7の地震が発生した瞬間、何が起きていたのか? ポイントになるのは『隆起と津波』です。 今回の地震では、能登半島の海岸の非常に広い範囲で『地盤の隆起』という現象が見られています。海のあった場所が陸地となり、新たな砂浜が現れたところや、漁港では船が打ち上げられ、海底だった場所が歩けるようになっていました」
■能登半島の“北側”で大規模な「隆起」…東京ドーム約94個分が「陸」に
市來キャスター 「この大規模な『隆起』の現象が、『津波」にも影響を及ぼしたんですよね?」 日本テレビ 社会部 災害担当デスク 中濱弘道 「そうなんです。まず『隆起』の現象ですが、専門家の分析では能登半島の『北側』の非常に広い範囲で起きていたということがわかりました。 距離にすると約90キロ、面積では約4.4平方キロメートル。東京ドーム約94個分の範囲の、海だったような場所が『陸』になってしまったということがいえると思います」
■「津波」の被害は能登半島の“東側”に集中?
中濱 災害担当デスク 「一方で、『津波』の被害はどうだったかというと…上の図で、水色で示された『津波』で浸水したエリアが、能登半島の『東側』の方に少し集中しているのがわかると思います」 市來キャスター 「『隆起』しているエリアと、『津波』の被害があったエリアの場所というのが、ちょうど反対側にあたるんですが、なぜこのようなことが起きたんでしょうか?」 中濱 災害担当デスク 「この2つの現象には、深い関係があるといえます」
■地震後わずか4~5秒で「隆起」…半島のまわりの海岸が広がった
中濱 災害担当デスク 「国土地理院が撮影した『地震前』と『地震後』の比較を見ると…輪島市の町野町にある海岸線の真ん中にある『半島』に注目してほしいのですが、これが、『地震後』どうなったかというと、半島のまわりにたくさん海岸線ができているのがわかります」 市來キャスター 「半島の形が変わるほど、波打ち際が広がっているということでしょうか?」 中濱 災害担当デスク 「そうですね。海岸が広がってしまった、ということがいえるかと思います。 こうした大きな隆起なんですが、『地震後』わずか4秒から5秒くらいの短い時間で、このように海岸がわっと上がってきたということが指摘されています。 輪島市では、約4メートル『隆起』したというのも観測で事実になっているのですが、これが、『津波』にも大きな影響を及ぼした可能性があります」