おぎぬまXのキン肉マンレビュー【コミックス第34巻編】~さらば、仮面の貴公子! 超人予言書の正体は『週刊少年ジャンプ』そのものだった⁉~
今なお語り継がれる珠玉の名勝負・ロビンマスクVSマンモンスマン戦を収録した第34巻! 『キン肉マン』全編通しても屈指のベストバウトと呼び声高いこの激動を、後世に語り継ぐため心に刻むべし!! ●キン肉マン34巻 レビュー投稿者名 おぎぬまX ★★★★★ 星5つ中の5 ●ロビンマスクのすべてが詰まった珠玉の一冊! さて、いよいよ始まりましたキン肉マンとフェニックス、両チームの最終決戦「イリミネーション・ルーレット・マッチ」。自身の存在そのものと連動した超人予言書のページをたいまつの上に糸で吊るし、いつ誰がその炎に焼かれて消滅するか知れないというまさにデスマッチなわけですが、ゆで先生の辞書に"様子見"という言葉はありません。試合開始のゴング早々ロビンマスクの予言書の糸が切れかけ炎の直上へ、さっそく下半身が黒ずみ始めます! ほぼこの状態から試合が始まる緊張感ったらありません。そもそもが3対2のキン肉マン側に不利な闘いで、そのうちひとりがこんな様子で大丈夫なの?...というところで、やはり気になるのは前巻からずっとこの闘いを陰から見守り続けるとある男の存在です。 そしてここでとうとう、その男がキン肉マン・チーム最後の助っ人としてリングに飛び込んできます。その男の名は、ザ・サムライ! ここで注目しておきたいのは、ロビンはその体に触れただけで、すぐさま彼の正体を確信したという点です。もちろん、彼は素性を隠したネプチューンマンなわけですが、思い起こせば夢の超人タッグ編でも、ロビンはネプチューンマンの正体が喧嘩男であることを誰よりも早く見抜きました。そして今回もまた...。それほどこのネプチューンマンという男は、ロビンにとっての忘れえぬ存在だったということでしょう。 しかも合流早々、再びピンチに陥ったロビンを救うべくザ・サムライが繰り出した居合い斬りボンバーのなんと豪快にして痛快なこと。この一撃で、拳を握りしめなかった読者はいないでしょう。 なぜなら、あのネプチューンマンが、仲間になったのですから! 前シリーズで主人公を散々に苦しめた敵のボスが仲間になる展開は、やはり心が踊ります。これぞ昭和のバトル漫画の王道、最高です! さて、そうなると今、闘うロビンの後ろに控えているのはネプチューンマンとキン肉マン。つまり彼は生涯の2大ライバルともいえる男たちに見守られつつ、過去最強の難敵マンモスマンと激突しているわけで、まるですべてのお膳立てが整えられたかのようなこの状況...もう先に言わせてもらいます。この巻は一冊まるごと、ロビンマスクの引退興行だと心して読んでください! そして魅力的なのは、味方だけではありません。敵のマンモスマンもまた溢(あふ)れんばかりの魅力を持つ超人でした。ただでさえ、作品史上最高のパワーファイターなのに、そこに凶器というより、もはや兵器と呼べる自慢の牙"ビッグ・タスク"が加わります。この牙、当たり前のように伸びたり枝分かれするだけでなく、なんとドリル回転から自動追尾機能まで搭載されています。まさに、ゆで先生の使用法アレンジの極致と言えるでしょう。 これまでもベア・クローやロング・ホーンなど超人特有の攻撃手段には驚かされてきましたが、ゆで先生はその集大成のような特徴を超人強度7800万パワーの男に与えました。実力だけならラスボスにも匹敵する強豪に死角はあるのでしょうか?