プロトレイルランナー井原知一が「バークレーマラソンズ」に挑む。ドキュメンタリー映画『メインクエスト バークレーマラソンズに導かれし者たち』公開
プロトレイルランナー井原知一が「バークレーマラソンズ」に挑む。ドキュメンタリー映画『メインクエスト バークレーマラソンズに導かれし者たち』公開
“悪魔のレース”と呼ばれる「バークレーマラソンズ」。過酷なレースの真髄と本大会に挑み続ける井原知一の境地に迫るドキュメンタリー映画の配信公開がいよいよ始まる。 文◉山本晃市(DO Mt。BOOK) 写真◉藤巻 翔。 Profile 井原知一 いはら・ともかず。 1977年、長野県長野市生まれ。プロトレイルランナー、トレーニング・アドバイザー。人生のプライオリティは「家族、仕事、トレラン」の順。自身で掲げた「100miles、 100times」に挑み、2023年までに100マイル完走数70。「夢は大きく、目標は小さく」「住所は宇宙、毎日が奇跡」など心に残る金言とともに、自らの行動による多くのメッセージを発信し続けている。
すべてがクレイジー、謎のベールに包まれた“悪魔のレース”
距離100マイル以上、累積標高差2万4、000m以上、制限時間60時間。過去最速優勝タイム52時間。コースマーキングの一切ないフィールドでチェックポイントをクリアしつつ、フィニッシュを目指す。過去36年間での完走者15名、完走率1%未満。 体力、走力、技術、知識、ナビゲーション能力、精神力……、あらゆる山岳踏破能力を要求される。 世界一過酷なレースと評される本大会の難易度の高さは、コース設定やレギュレーションだけではない。大会情報も一切公表されず、エントリー方法すら自ら調べる必要がある。 日本屈指のプロトレイルランナー井原知一が過酷かつ破天荒な本レースの存在を知り、その魅力にとりつかれる。以後、大会への出走、完走をすべく、あらゆる手を尽くす。 2018年、ついに願いが叶い、オーガナイザーのゲイリー・カントレルからメールが届いた。 「残念ながら当選しました。これから先いいことはひとつも起きません。完走できるなんて微塵も思わないでください。あたなを選んだのは、あなたが嫌いだからではありません。いい人にも悪いことは起きるようです。あなたの夢は決してかないません。それでもよければお越しください」(井原訳)。 通称“お悔みメール”。 メールを受け取った井原は、あくまでもクールに闘争心を燃やした。