鈴与シンワート、鈴与シンワ物流の導入事例レポート補助金申請編を公開
鈴与シンワートは、鈴与シンワ物流の運行管理システムのリプレイスについてコンサルティングサービスを提供しており、その進捗状況を段階ごとにリアルタイムレポートしている。今回、「AI・IoTなどを活用したさらなる輸送効率化推進事業費補助金」申請編を公開した。 鈴与シンワ物流が行うシステムリプレイスによる輸送効率化は、CO2削減だけにとどまらず、実車率の向上を主軸に、生産性向上と運行コストの削減を実現し、収益改善効果が期待できる。また、車載のIoTデバイスが動態管理システムと連携し、渋滞回避や荒天時の経路誘導を行うほか、不測の事態が発生した際には、5台の車載カメラによる直前の映像記録などから、乗務員や車両の状況を瞬時に把握し、迅速・適切な対応をとることが可能で、安全面にとくに配慮している。 同社は、一昨年から物流DX化を進め、2024年問題の対策を講じてきた。システムリプレイスによる輸送効率化は、とくに収益改善効果によって、運転者不足への対策を行っていくうえでは、必要不可欠と考えている。 実運送の部門は、昨今の原油価格高騰と円安の影響で軽油の値上げが続き、営業利益が逼迫していたため、交付金額400万を超えるパシフィックコンサルタンツ(PCKK)の補助金はかなり大きな事業インパクトとなる。 今回申請した補助金制度は、経産省と国交省の連携事業を民間のPCKKに委託し、実施されているもの。まず、公募で改善計画を募り、そのなかから審査で改善計画値が大きいものが選定される。さらにシステム導入前後の数値比較を行い、改善成果報告(目標値以上の報告が必須)が完了した後に、補助金が交付される。 非常にハードルが高い分、交付金額も車載器本体30台分と工賃の50%相当と多額であるため、同制度を重要視した。万一、審査に通らなかった場合は、改善実施計画を練り直し、リプレイスを次年度に延期することも検討していた。 申請にあたっては、鈴与シンワ物流の主力であるバルク車は片荷運行が多く、実車率が50%強のなかで改善できるポイントが少ない点や、参考にした昨年度のベストプラクティス集の事例と、同社の運行条件とは大きく異なるため、実施計画案の策定にはかなり苦労したという。 そのなかで、実施計画を立案する際、現行の配送プロセスを細かく書き出した業務フローを何度も見直すことで、無駄や削減できる箇所がないか、幅広く問題意識をもつことができた。また、改善ポイントの深堀によって、新たな知見が広がり、今後、別件で業務改善や、新たな施策を講じる際には、着想のヒントにつながると考えている。 新たな運行管理システムと連動する車載器には、ナビゲーションと各車格に応じた経路誘導システムが付いているため、入社したばかりの乗務員でも、道に迷うことなく初めての目的地へスムーズに向かうことができる。今後、物流業界ではドライバー不足が深刻化するといわれているが、新システムによって、少しでも運転業務の不安を取り除くことで、求職者への訴求力や定着率の向上を期待している。 また、法令で定められた連続運転時間や休憩時間が適切に取得されているかをシステムで管理ができるため、運行管理業務を補助し、今以上にコンプライアンスの徹底ができると期待している。 同社は、2年前から導入している管理業務システムによって、ほぼすべての帳票や管理台帳、記録簿などを電子化している。今後は、管理業務システムと日々の運行データをクラウドサーバーで互換連携させ、従来担当者が手入力していた勤怠の基礎集計や車両メンテなどの記録を自動化する。すでに導入しているRPAとの併用で業務の省力化につなげていきたい考え。