【F1メカ解説】最強レッドブル、その止まらない創意工夫……サウジアラビアでは冷却用パネルの調整で、最高速を確保
■RB20に存在する様々な冷却用開口部
しかしそれだけではない。通常のエンジンカウルのリヤエンドの排熱用開口部に加え、様々な熱を遮断する選択肢がある。 例えばエンジンカウルの両側面には、ルーバーパネルが設けられているが、サウジアラビアGPではこれを完全に閉じることができることが分かった(白い矢印で示した部分)。 またエンジンカウルの上面、砲塔のようになっている膨らみとエンジンカウルの間にも開口部が設けられており、これもパネルを用いて開いたり閉じたりできる。
■リヤウイングでも最高速増の工夫
レッドブルが採用した低ダウンフォースレベルのリヤウイングに関しては、ダウンフォースと空気抵抗を減らすために全てがパワーダウンされているものの、バーレーンで使われたハイダウンフォース仕様のリヤウイングとほぼ同じ機能を持っていた。 上の写真の上側がバーレーンGP仕様、下がサウジアラビアGP仕様である。 スプーン状のメインプレーンの中央部分は上方に向けて持ち上げられており、許容される領域内の占有スペースを削減。その結果、翼端板へ向かう角度が緩やかになった。またフラップは薄いモノになっており、ここでも空気抵抗を削減している。 この処理は、メインプレーンに対するフラップの大きさの比率を管理することで、DRSを使った時に最高速度が十分に上がるようにすることを目指したものである。 なおフラップ中央部の後端にある切り欠きは、サウジアラビアGPの方が小さくなっているのは興味深い。そして、いずれのタイプにも後端にガーニーフラップが取り付けられている。
■ビームウイングにも変化
リヤウイングの変更に伴い、レッドブルは発生する荷重を軽減することを目的とした新しい構成のビームウイングも採用した。 2枚あるビームウイングは、いずれも角度が薄くなり、上方のフラップは特に薄くなっている。この上方のフラップは、バーレーンGP仕様(上)では車体中心線をまたいで左右のフラップが連続して存在している。しかしサウジアラビアGP仕様は、左右がそれぞれ独立して存在。直接後部の衝撃吸収構造に接続された。
Matt Somerfield, Giorgio Piola