営業利益5兆円超えトヨタ、減益予想で示す覚悟、EV・AI・ソフトウェアに1.7兆円投じ変革を加速
宮崎洋一副社長はHVについて「メインプレーヤーとして認知されるようになった。乗り心地、加速性能といった点でも魅力ある車になっている」と自信を示す。「北米におけるトヨタの平均在庫日数は15日程度だが、HVでは5~8日しかない」(宮崎副社長)。これはディーラーに入荷されるとすぐに売れる状況だ。 電池やモーター、インバーターといったコストがかさむHVの採算性は、通常のエンジン車よりも劣った時期が長かった。が、近年のトヨタではHVとエンジン車の台当たり利益は同等、車種によってはHVが上回るという。
2022年に営業利益率16.8%を叩き出したテスラ。だが、EV販売が伸び悩むうえにBYDなど中国勢との競争で値下げを強いられたことなどから、直近の2024年1~3月には5.5%まで低下した。気がつけば、営業利益率でトヨタはテスラを上回り、時価総額の差も縮まっている。 盤石に見えるトヨタだが、2025年3月期の業績予想を見ると危機感がうかがえる。 ■2割減益の予想を出した意図 この日、トヨタが示した2025年3月期の営業利益予想は4兆3000億円と19.7%減益を見込んでいる。これは成長領域の研究開発などにかかる費用を3200億円、仕入れ先や販売店への還元を3800億円積み増すことによる影響が大きい。
「大きな事業構造改革が必要になる」「従来の大量生産、大量消費のビジネスモデルは持続的ではない」。佐藤社長が繰り返したのは、従来のビジネスモデルからの脱却だ。 自動車業界ではEVシフトや自動運転技術の開発に加えて、ソフトウェアサービスによる新たな価値が新車の商品性を左右する「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」と呼ばれる考え方が広がりつつある。さらに、希少資源を多く使う電池の生産コストが重いEVは、現状のエンジン車に比べて価格上昇が避けられない。今までより新車が売りにくくなることが予想される。