「米韓同盟重視」に回帰、尹錫悦政権が強調した「半導体」と「拡大抑止」――東アジア情勢の変化
共同声明に盛り込まれた「韓半島を越えて」という文言
Olinchuk/Shutterstock.com
米韓首脳会談の共同声明には「グローバルな包括的戦略同盟:韓(朝鮮)半島を越えて」という章が設けられた。前述のように米韓間の「包括的戦略同盟」は既に確認された関係であり、これをさらにバージョンアップさせるために「グローバルな」という形容詞と「朝鮮半島を越えて」という言葉が加えられている。尹錫悦大統領の「より大きな地域的・世界的責任を受け入れるというイニシアティブ」の表明であり、気候変動問題、感染症対策、健康保健、インターネットの未来のための開かれた「ネットワークのためのネットワーク」育成、5Gおよび6G、サイバーセキュリティなどの協力を進めていくとされた。 1年前の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との共同声明 で、首脳会談の共同声明としては初めて言及した台湾問題について、今回も両首脳は「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性」を改めて表明した。 さらに「平和と安定、合法的で妨げられない通商、及び航行と上空飛行の自由を含む、国際法の尊重を維持し、南シナ海及びそれ以外の海域を含め、それらを合法的に利用することへのコミットメント」も再確認している。中国という単語はないが、中国を意識した言及だ。これは本来ならば、中国の大きな反発を生む内容だが、既に文在寅大統領が1年前に共同声明に盛り込んでいることもあり、大きな話題にはならなかった。
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平井久志