どうなるクリミア情勢 国際政治に翻弄されるウクライナ
クリミア情勢は今後どのような展開に?
第二次世界大戦末期に米英ソの首脳による会談が行われたヤルタのあるクリミアは現在もウクライナの領土ですが、人口の約60パーセントはロシア系住民で、ロシアに対する思い入れが強い地域です。ロシアのパスポートを持つ住民も少なくなく、1991年のソ連崩壊後にはこの地域で独立運動が発生しましたが、最終的に主権を持たない自治共和国としてウクライナに残る形となりました。 クリミアは1954年に当時のソ連共産党書記長だったフルシチョフによってウクライナに譲渡されました。ウクライナのモスクワへの忠誠心に対する褒美として、ウクライナが帝政ロシアに併合されて300年となる1954年に譲渡が行われましたが、当時はソ連崩壊を予想する人もおらず、譲渡に対しても大きな反対運動は発生しませんでした。 また、クリミアにはソ連崩壊後もロシア黒海艦隊が海軍基地を借りる形で駐留しており、ロシアにとって戦略上無視できない場所なのです。軍事的に重要なエリアという事実に加え、歴史的に様々な民族問題を抱えていることがクリミア情勢を複雑にしています。 前出の女性は国際政治の思惑に翻弄されるウクライナの将来を杞憂します。 「現在のウクライナに他国の侵略から本土を防衛する力はありません。国際社会に助けを求めるしかないのです。大国による保護と引き換えに90年代に保有核兵器を全て放棄したにもかかわらず、なぜ誰も我々を守ってくれないのでしょうか」 (文 / ジャーナリスト・仲野博文)