ホンダ株が急騰、巨額の自社株買いを好感-財務懸念和らぐ
(ブルームバーグ): ホンダ株が24日の取引で一時前日比17%高の1495円に上昇し、8月6日以来の日中上昇率を記録した。日産自動車との共同持ち株会社設立に先駆け、2025年に巨額の自社株買いを実施すると発表したことが好感されている。
ホンダは発行済み株式総数の23.7%、1兆1000億円を上限に自己株を取得すると23日に発表した。同日に日産と26年に新たな持ち株会社を設立する検討に入ると公表。三部敏宏社長は協議中は機動的な取得が制限されるため、現時点で一括で多額の自社株買いをすることにしたと説明した。
自社株買いは、持ち株会社設立がホンダの財務に悪影響を及ぼすとの市場の懸念を和らげる狙いがあると受け止められている。24日午前の取引でホンダ株は日経平均株価の構成銘柄で上昇率が首位となり、東証株価指数(TOPIX)の値上がりに最も貢献した。
SMBC日興証券アナリストの牧一統氏はリポートで、自社株買いは「規模だけでなく、財務懸念を払しょくする点でもポジティブ」だと指摘。持ち株会社を巡る議論が長期化する可能性なども踏まえて最大額が設定されたようだとの見方を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、発表はホンダが「資本構成の改善や株価を非常に重視していることの表れ」だと分析。同社が24年3月期決算の発表時に表明した株価純資産倍率(PBR)1倍の早期達成の目標を後押しすると述べた。
大規模な自社株買いは、新たな持ち株会社の最終的な保有比率にも影響する可能性が高い。独立系アナリストのトラビス・ランディ氏はリポートで、ホンダと日産は双方の株価を考慮しながら比率を決めることで合意しているとした上で、1株当たり利益(EPS)拡大につながる自社株買いは、ホンダが交渉で非常に優位な立場にあることを象徴する動きだと指摘した。
東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは、自社株買いによる株価上昇は短命に終わるとみている。日産の構造改革の内容が出る前に持ち株会社設立の検討を発表したのは「不思議」とし、自社株買いの発表を「織り込んでしまえば株価は上がりはしないだろう」と話した。
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Momoka Yokoyama, Alice French