近年のトラウマだらけアニメ映画 「色鮮やかにしたらR指定に」←いや元からアウトやろ
色が鮮明になった衝撃の物語
日本国内の映画興行収入で毎年上位に何作も入るアニメ映画のなかには、家族で問題なく楽しめる作品のほか、トラウマ級の描写、さらに映像倫理機構(映倫)から年齢制限をつけられてしまうほどの過激描写のある作品もあります。近年もSNSを中心に「エグすぎた」「これPG12でいいの」と話題になった、衝撃のアニメ映画がありました。 【画像】え…っ?「本編とのギャップが」「尊すぎてエグい」こちらが黒セーターを着て楽しそうにお茶している「ゲゲ郎と水木」です 2024年後半に公開されたR指定のアニメ映画では、2023年の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を、327カットのリテイクに加え、音も再ダビングしてブラッシュアップした『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』が話題になっています。2023年公開版は「簡潔な殺傷・出血の描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。」(映倫公式サイトより)という理由でPG12指定だったのに対し、今回の真生版は「刺激の強い殺傷・流血の描写がみられ、標記区分に指定します。」とR15指定になりました。 おなじみ『ゲゲゲの鬼太郎』の「鬼太郎の父」の過去(1956年)を描いた本作では、日本の政財界を裏で牛耳る「龍賀一族」が住む「哭倉村」を銀行員の「水木」が訪れ、そこで起きる惨劇の数々が描かれています。田舎の村の「因習ホラー」としても高い評価を受けた本作では、そこまで直接的な見せ方はしていないものの、血しぶきは容赦なく描かれており、『真生版』に関しては「血の色が鮮明になってよりグロい」「惨殺死体が元のバージョンよりくっきり映っていた」と驚く声もあれば、そこまで違いが分からないまま見たという意見も出ていました。 また、今回の『真生版』で初めて『ゲゲゲの謎』を観た人や再鑑賞した人から、「ていうか何でこの話で前はPG12だったん」「ゲ謎って映像のグロ以外にも内容のえぐみがあるからPG12ちょっと甘い気がしたんだよな」と、改めてストーリーのおぞましさについて触れている声も出ています。 詳細は伏せますが、本作の「黒幕」が行った所業に関しては「親又は保護者の助言・指導」があれば子供が見ても大丈夫なのか、というのは難しいところです。大人でも人によっては、劇中の水木のように吐き気を催してしまうかもしれません。 ちなみに、雑誌「spoon.2Di Vol.114」に収録された本作の監督、古賀豪さんのインタビューによれば、作中のキーアイテムである血液製剤「M」にまつわる真相が明かされた後の、工場での惨劇の場面はPG12番で抑えた血の色を特に鮮やかにしたとのことで、『真生版』の大きな見どころになっています。 『ゲゲゲの謎』とは別の形で「戦争」が話にからんでおり、PG12で済まないような描写が相次いだアニメ映画では、2024年5月31日に公開されたアニメ映画『ユニコーン・ウォーズ』(PG12指定)が強烈でした。アニメーション作家兼漫画家のアルベルト・バスケスさんが手掛けた同作は、かわいらしい「テディベア」と「ユニコーン」たちの苛烈な宗教戦争のような争いを描いており、ポスターでも「『地獄の黙示録』×『バンビ』×『聖書』 混ぜたら、危険!」と書かれています。 主人公に当たるテディベアの兄弟が「魔法の森」で繰り返されてきたユニコーンとの戦争に参加するために、映画『フルメタル・ジャケット』のような訓練をうけ、その後に森での阿鼻叫喚の地獄絵図のような戦争が描かれました。テディベアたちがユニコーンの角で貫かれて内臓が飛び出る戦闘シーンだけでなく、兵士たちが危険な幻覚作用のあるムカデを食べて巻き起こすトラウマ級の「ドラッグシーン」も衝撃です。 デフォルメされた絵柄のテディベアたちとリアルなタッチのユニコーンたちとの対比を際立たせるアニメならではの演出や、戦争を静観する「猿」たちの狙いが明らかになる皮肉で恐ろしい結末など、随所に見どころが多い作品です。パンフレットの監督談では「分断がもたらす争い」の無意味さを説く狙いを込めたと語られており、初見では冷静で観られない内容ながら、考察しても楽しい1作となっていました。
マグミクス編集部