韓国の憲法裁、大統領の弾劾審判を開始 検察は尹氏に出頭を再要請へ
韓国の憲法裁判所は16日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判の手続きを開始した。尹氏は非常戒厳を宣布して政治的混乱を引き起こしたとして、国会で14日に弾劾訴追案が可決され、職務停止となった。 憲法裁は6カ月以内に尹氏を罷免するか、復職させるか決める。罷免となれば60日以内に大統領選挙を実施する。大統領の職務は現在、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行している。 憲法裁の審理は公開で行われ、判断が示されるまで数カ月かかる可能性があるが、迅速に決定を出し、政治的に不安定な状況を終わらせるよう求める声が強まっている。 韓国では、尹氏の辞任を求める大規模な抗議デモが、非常戒厳が発動されて以来、続いてきた。この日も憲法裁が手続きを進めるなか、デモ参加者たちは尹氏の罷免を求めていくと宣言した。 韓国ではこれまでに2回、憲法裁が大統領の弾劾について審理している。1回は妥当性を否定し、もう1回は支持した。 尹氏の弾劾をめぐっては、審理が進められるのか疑問視する声も出ている。裁判官9人のうち3人が最近退任し、まだ補充されていないためだ。 だが憲法裁は16日、裁判官6人でも審理は可能だとし、今月27日に予備審問を設定した。 尹氏が法廷で証言台に立つかは不明だ。 尹氏を内乱容疑で捜査している検察当局は15日、出頭を要請したが、尹氏はこれを無視した。検察は再要請する見通し。もし今週中に出頭しなければ、警察が尹氏の逮捕に動く可能性もある。 尹氏は、非常戒厳の決定は正当だったと主張している。国会で弾劾訴追案が可決されたあとも、再び最後まで闘うと表明した。 ■与党の代表が辞任 与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表はこの日午前、憲法裁が会合を開いた直後に辞任を表明した。 韓氏はテレビ放送された記者会見で、「この非常事態で苦しんでいるすべての国民に心から謝罪する」と述べた。 韓氏は当初、尹氏の「秩序ある辞任」を模索していた。しかし、尹氏のテレビ演説で辞任する気がないことが明らかになると、一転して尹氏の弾劾訴追案に賛成するよう所属議員らに呼びかけた。 14日の弾劾訴追案の採決では、「国民の力」の議員12人が賛成票を投じたとみられている。 その後、同党の最高委員5人全員が辞意を表明。指導部は自動的に崩壊状態となった。 韓氏は、最高委員が「崩壊」となったことで、代表としての職務を果たすことが「不可能」だと述べた。 尹氏の弾劾への賛成を呼びかけたことについては、「心を痛めている私の支持者たちのことを思うと胸が痛むが、後悔はしていない」と話した。 (英語記事 South Korea court begins Yoon's impeachment trial process)
(c) BBC News