「到底承服できるものではない」(日本製紙クレシア)…東京地検、長巻きトイレ紙特許侵害を認めず
日本製紙クレシア(東京都千代田区、安永敦美社長)が従来品比で約3倍長い長巻きトイレットペーパーの特許権を侵害されたとして、大王製紙に商品の製造差し止めなどを求めた訴訟で、東京地方裁判所は21日、特許権侵害を認めず請求を棄却した。クレシアは今回の判決について「到底承服できるものではない」とし、知的財産高等裁判所に控訴する考え。 クレシアは2022年9月、大王製紙が同年春に発売した「エリエール イーナ トイレットティシュー 3・2倍巻 ダブル」が自社の特許3件を侵害したとして、商品の製造・販売の差し止めと廃棄、3300万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。 クレシアは長巻きにしてもトイレットペーパーのふんわり感を損なわないために紙表面に施すエンボス(凹凸)性状や包装などに関する特許が侵害されたと主張。大王製紙は特許を侵害していないと反論していた。 大王製紙は判決を受け「当社の主張の正当性が司法の場で確認された。一層、自社の知的財産権の保護を図るとともに、他社の知財を尊重する」とのコメントを発表した。 長巻きトイレットペーパーは同じ1本でも高密度に紙を巻くため、通常巻きより体積が小さいのが特徴。消費者は交換の手間や購入頻度を減らせるほか、小売店の売り場面積の削減や輸送コストの低減などにつながるメリットがある。