日本の「非常任理事国」入り濃厚 常任理事国と何が違う? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
また安保理は国際連合加盟国となるための承認も担います。勧告に基いて総会が決定するのです。日本が国連加盟できたのは1956年の日ソ共同宣言で拒否権のあるソ連(議席は現在ロシアに移動)が「支持」を表明してくれたため。パレスチナは国連加盟を申請しているもののアメリカが拒否権発動を明言しているため入れていません。憲章にない平和維持活動(PKO)部隊の派遣も安保理の仕事です。 パックリと9対6に割れて経済や軍事制裁という重要項目を決めるのもみっともないため安保理は全会一致を目指そうともします。その結果反対派が決議案のどこを直したら賛成に回るのかという議論も公式・非公式問わず盛んに行われるため自国の影響力を発揮できる場でもあります。 15か国はアルファベット順に1か月「議長」が回ってきます。そこでは議長国にとって大切な課題を日程に載せられたり、イラク攻撃の是非がテーマとなっていた際のドイツのように強い裁量を振るえます。決議よりおだやかで法的拘束力はないながら安保理の意思である「議長声明」の主役でもあるのです。
どんな手順で決められる? 選挙はいつ?
非常任理事国は国連加盟国のうち地域ごとに枠があります。アジア太平洋2、アフリカ3、中南米2、西欧その他2、東欧1。アジア太平洋と中南米は毎年に改選1議席を、アフリカは奇数年に2・偶数年に1を、西欧その他は偶数年に、東欧は奇数年に改選されます。こうしておけば全体として毎年5か国ずつ改選できるというわけです。 枠内に収まっても収まらなくても総会で加盟国の3分の2以上の承認が必要です。枠に収まらない場合、例えばアジア太平洋は改選1なので2か国以上が立候補すると必然的にどちらかが落選します。3分の2以上をどちらかが獲得するまで選挙は繰り返されます。冒頭のバングラデシュの表明の背景にはそうした事情がありました。ついでにいえば日本が1回だけ落選した非常任理事国選挙の相手もバングラデシュ(1978年)です。引き続いての再選はありません。