優しい眼光で800馬力のHV! ランボルギーニ・ウルス SEへ試乗 ドリフトしたい気持ちを予測?
エンジンをモーターが補完 瞬間的レスポンス
ウルス SEの0-100km/h加速は3.4秒。ウルス Sより、0.1秒縮めている。強烈にターボブーストされるV8エンジンを駆動用モーターが補完し、瞬間的なレスポンスを実現。中間加速も凄まじい。 エンジンが積極的に稼働するスポーツ・モードを選び、8速ATをマニュアルで操れば、刺激マックス。遠くで響くような、V8サウンドも素晴らしい。 ただし、防音性に優れ視点は高め。他を圧倒するような速さを容易に引き出せる一方で、スピードメーターの数字を確かめなければ、その事実は実感しにくい。公道では、ちょっと手に余るパフォーマンスだ。 ハイブリッドの能力は、筆者の期待に届いていない。デフォルトのストラーダ・モードで、駆動用バッテリーが満充電の状態でも、エンジンの出番が多すぎるように感じた。 バッテリーの容量を考えると、電気だけで走れる距離は短めでもある。ランボルギーニは、わざわざケーブルを繋いで充電されることは少ないと予想するけれど。 ブレーキペダルの感触は、プラグイン・ハイブリッドとしては納得できる。だが、非ハイブリッドのウルスほど漸進的ではない。 フェイスリフト後のウルスで、電動化技術以上に熱いのが、ドリフトでタイヤを溶かす能力。従来のトルセン式センターデフは、トラクションの低下時に反応するシステムだったが、積極的にトルクをタイヤへ分配してくれる。必要以上にも。
シリアスなラリーカーのように振り回せる
予測的に機能し、スタビリティ・コントロールを切った状態でカーブから鋭い加速を試みると、ドライバーがドリフトを望んでいると自動的に判断。外側のリアタイヤを滑らせる勢いで、制御されるという。 今回の試乗場所は、ポルシェが有するドイツのナルド技術センター。そこに、ドリフト体験と銘打った短いコースが用意されていた。 ドライバーがテールスライドしたい・やめたいという意志を、ウルス SEへ伝えるには、相応の操作が必要ではある。しかし1度慣れてしまえば、シリアスなラリーカーのように振り回せる。 軽くないボディを、思い切り横向きにするのは朝飯前。きっかけを与えて、アクセルペダルを蹴飛ばせば、四輪ドリフトさえ簡単に披露する。実際の環境でどんな興奮を享受できるのか、技術センターから連れ出せる日が待ち遠しい。 ウルス SEはストラーダ・モードで親しみやすく、フォルクスワーゲン・トゥアレグにも近い。ところがスポーツ・モードへ切り替えると、言葉を失うほど機敏に走り出す。 パワースライドしていこうとする様は、ちょっとゲームチック。アウディには似合わなくても、ランボルギーニにはぴったり。2.5tある車重も、巧みに覆い隠している。 乗り心地は硬い。新しいツインバルブ・ダンパーが減衰特性を広げ、ストラーダ・モード時はフェイスリフト前より僅かにソフトだが、ソリッドな感じに変わりはない。ダンパーがしっかり仕事をしても、ホイールの動きもはっきり感じ取れる。