横浜流星主演・藤井道人監督の映画『正体』。人を信じきることの難しさを問う
数々の話題作を生み出してきた藤井道人監督が、横浜流星を主演に迎え、約4年の年月をかけて作り上げた映画『正体』。死刑判決を受けながら脱走し、顔と姿を次々と変えて逃亡を続ける主人公の目的とは何か? 横浜流星は死刑囚を演じた(写真)
『新聞記者』(2019)、『余命10年』(2022)の藤井道人監督と、俳優・横浜流星が4 年の歳月をかけて完成させた映画『正体』。原作は2022年にドラマ化もされている、染井為人の人気同名小説だ。横浜が演じるのは、日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕された鏑木。事件当時、高校生だった鏑木は死刑判決を受けて収監されていたが、移送中に脱走を図る。日本各地を、名前と姿を変えながら縦断し逃走を続ける彼の目的とは──。 横浜流星はクランクインの約3年前から、藤井監督と準備を進めていたという。リアリティを重視する監督は、2023年に夏編、2024年初頭に冬編と2回に分けて撮影を敢行した。 工事現場で鏑木と出会う青年(森本慎太郎)、冤罪の疑いをかけられた弁護士の父(田中哲司)を信じる編集者(吉岡里帆)、介護施設で鏑木にときめくヘルパー(山田杏奈)。実力派俳優たちの迫真の演技が生み出す人間模様と、逮捕時から事件に関わる刑事(山田孝之)の葛藤が象徴する国家権力という闇。出会う人の心にさざ波を立てる鏑木の逃走劇は、現代の日本が抱える多様な問題を浮かび上がらせながら、観る者をラストまでサスペンスの渦に巻き込んで離さない。 『正体』 11月29日(金)全国公開 BY REIKO KUBO