魚は鏡に映った自分を認識…より大きな相手との戦い避ける?
自分より大きい敵は攻撃しない方がいい――。魚は鏡に映った自分の体の大きさを認識している可能性があることを、大阪公立大などの研究チームが実験で明らかにした。
チームのこれまでの研究で、ホンソメワケベラには鏡に映る自分を認識する能力のあることがわかっている。今回は、鏡で自分の大きさ(体長)をわかっているかどうかを調べた。
ホンソメワケベラは体長10センチ程度で、縄張り意識が強く、同種の魚が来るとかみつき合って追い払おうとする習性がある。
実験では、水槽内の8匹に、同種で8匹より大きい、同じ、小さい魚の写真を見せた。その結果、どの写真に対しても攻撃する時間はほぼ同じだった。一方、水槽に鏡を設置して自分の姿を見せた後、3種類の写真を見せると、自分より小さな魚の写真にはより長い時間攻撃した。
チームの同大大学院生、小林大雅さんは「鏡で自分の体長を認識した上で、自分より大きな相手と戦うリスクを避けた可能性がある」と話す。論文が国際学術誌に掲載された。
広島大の吉田将之准教授(生物学的心理学)は「動物の意識の理解につながる重要な一歩だ。ホンソメワケベラが我々と同じ意識を持つかまではわからないが、脳からのアプローチなど様々な方法で解き明かしていく必要がある」としている。