「マイヨール記念館」設立への第一歩 館山のダイバー成田均さんがカフェをオープン(千葉県)
素潜りの伝説的なダイバー、ジャック・マイヨール(1927~2001)の記念館を館山市内に建てる構想を進める成田均さん(77)が、同市坂田で将来の記念館の一部となるカフェをオープンし、構想の第一歩を踏み出した。子どもたちに自然体験をしてもらう施設も間もなく開設する。「ジャックはチャレンジ精神を大事にしていた。私も記念館の実現に向けて今後もチャレンジする」と話す。 カフェは、成田さんのダイビングスクールに隣接する県道沿いにある。約600平方メートルの敷地に、今回開いたカフェの建物と、子ども向け自然体験用の施設の2棟がある。建物には薄い黄緑色に塗装したウッドデッキも据え付けてある。
メニューは、ソフトクリームやコーヒーなどの飲み物が中心。持ち帰り専用だが、ウッドデッキに木製のベンチとテーブルがしつらえてある。 2棟とも、知り合いの建築業者やダイバー仲間らの手助けを受けて、成田さんが5月ごろからコツコツと手造りしてきた。木材や資材は北陸などにも足を運んで買い集め、敷地は構想に賛同する近くの知り合いがほぼ無償で貸してくれた。 オープンは15日。ダイビングスクールの客や、すぐ隣にある東京海洋大学の研究施設の学生の他、ダイバー仲間が知り合いを伴って足を運んでくれるなど、3連休に重なったこともあって最初の3日間は1日当たり40~60人でにぎわった。 費用を抑えるため、リサイクルショップで安く買った業務用の冷凍冷蔵庫が、冷媒のガス漏れで電源を入れてもまったく冷えないハプニングもあったが、まずは良い滑り出しとなった。当面は定休日なしで、毎日午前10時~午後6時に営業する。 同じ敷地内の自然体験施設は、カフェのやり繰りをしながら今も成田さんが建築中。建物内には休憩スペースにするロフトを設けてある。1階から通じる階段の手すりは、近くの海岸で拾った流木を拾ってきて磨いて加工したものだが、自慢の出来栄えになった。間もなく完成の見込みで、10月ごろから海岸の流木で洋服のハンガーを作ったり、貝殻をランプシェードに加工したりする子ども向けの教室を始める予定だ。 成田さんが所有するマイヨールの遺品や写真などを展示する記念館の“本館”の全面的な完成は、まだ見通せない。だが、成田さんはこう話す。 「ジャックは『与えられた状況の中でベストを尽くす。結実しなくても、やったことに意義がある』と常々言っていた。その精神を継いでくれる子どもが5人でも10人でも育ってくれれば、それはそれでいい」 (斎藤大宙)